日立製作所とServiceNow Japanは2016年7月19日、ITサービスマネジメント分野での協業開始を発表する。日立の統合システム運用管理ソフト「JP1」と、SaaS型のITサービスマネジメント「ServiceNow」を連携させたソリューションを両社で提供。共同マーケティングやプロモーションにも踏み込む。

 ServiceNowは、ITサービスマネジメントのベストプラクティス集「ITIL」に基づいた運用プロセスを実現するためのクラウドサービスだ。統合レコードシステムと呼ぶDBを中心に、ワークフローやレポートといった自動化のためのプラットフォームを提供。その上で、サービス・マネジメント・アプリケーションを利用したり、新たにアプリを開発・実行したりできる。

写真1●ServiceNowの全体構成
写真1●ServiceNowの全体構成
出所:ServiceNow
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 ServiceNowの全体構成の中で、JP1はITオペレーション・マネジメントを提供する選択肢の一つ。データセンターに配備されたJP1から各種情報をServiceNowに集め、インシデント管理やリリース管理、問題管理などの一元化を図れる。「グローバルのベストプラクティスを日本の顧客に広めるには、現場のノウハウが大切」。ServiceNow Japanの村瀬将思 社長は、利用実績が豊富なJP1と組む狙いをこう話す。

 今回の協業を通じ、日本発のグローバル企業はもちろん、数多くのJP1を抱える企業にも両社のソリューションを展開したい考えだ。「例えばServiceNowは、ヘルプデスク機能に強みを持つ。そこに、各所のJP1が上げるイベントを取り込む効果は大きい」(日立製作所 ICT事業統括本部 ITプロダクツ統括本部 ソフトウエア・サービス開発本部 担当本部長 青島達人氏)。

 既に、いくつかの連携ソリューションが利用可能である。「サービスサポート」は、顧客先のJP1から障害情報をServiceNowに集め、インシデント管理や問題管理などにつなげる。「サービスリクエスト管理自動化」は、ServiceNowのワークフローからJP1を呼び出し、サーバー割り当て作業を自動化する。

写真2●連携ソリューションの例「サービスサポート」
写真2●連携ソリューションの例「サービスサポート」
出所:日立製作所
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写真3●連携ソリューションの例「サービスリクエスト管理自動化」
写真3●連携ソリューションの例「サービスリクエスト管理自動化」
出所:日立製作所
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 連携ソリューションの先には、ServiceNow上でのJP1アプリ提供も見据える。「複数のオンプレミス環境で動くジョブの自動実行機能(JP1/AJS)に対し、ServiceNow上で統一的なビューを提供するようなことが考えられる」(青島氏)。