図●「A-SaaSコネクト」の取引明細、仕訳登録画面
図●「A-SaaSコネクト」の取引明細、仕訳登録画面
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 アカウンティング・サース・ジャパン(ASJ)は2016年7月14日、企業の財務関係業務を支援する新サービス「A-SaaSコネクト」を発表した。まずは同年8月13日に、口座情報の収集や仕訳登録を自動化するサービスを投入する。将来的には金融機関と連携し、資金調達支援サービスも提供する予定だ。会計事務所や中小企業、個人事業主に売り込む。

 A-SaaSコネクトの第1弾として、会計帳簿の記帳を自動化するサービスを始める。PFM(個人資産管理)を手掛けるマネーツリーの「MT LINK」と連携し、銀行口座明細やクレジットカードの取引履歴などを自動取得。さらに自動仕訳したデータを、クラウド会計システム「A-SaaS」に登録可能だ()。

 中小企業の経理担当者などが手作業で会計入力する場合、時間がかかるうえに、税理士事務所がチェックした際の誤り修正など手戻りが多く発生する。税理士事務所に記帳代行を依頼する中小企業もあるが、銀行通帳のコピーなどをやり取りする手間が掛かる。松尾繁樹公認会計士事務所の松尾繁樹氏は、「通帳のコピーが1ページ抜けていたといったことがよくある。時間のロスが非常に多い」と語る。会計入力にかかる手間や時間を削減できるという。個人事業主向けが月額980円、法人向けが月額1980円で提供する。

 口座情報の自動取得や自動仕訳を実現するクラウド会計サービスはほかにもあるが、ASJの佐野徹朗代表取締役社長CEO(最高経営責任者)は「自動仕訳の精度が違う」と説明する。クラウド会計では、ユーザーの入力内容を機械学習させることで自動仕訳の精度を向上させるアプローチが一般的。税理士が利用することが多いA-SaaSコネクトは、中小企業が自身で入力する他のクラウド会計に比べて、学習させるデータの信頼性が高いという。

 将来的には利用企業から同意を得たうえで、A-SaaSに蓄積した会計データを金融機関に提供、資金調達を手助けするサービスもA-SaaSコネクトとして提供する考えだ。A-SaaSで管理するのは、税理士のチェックを介した会計情報で、税務申告データなどを含む。信頼性の高い情報のため、与信業務に活用しやすいとする。2017年後半での商用化を目指す。