新電力会社のみんな電力は、「誰が電気を作っているか」をネットで確認した上で契約できる電力小売りサービスを近く始める。電力供給している発電事業者をポータルサイトで公開。消費者はサイトを見て気に入った事業者を選び、みんな電力と契約する。選んだ事業者から地域特産品を送ってもらうなど特典もある。電力小売りに必要な情報システムをクラウド上で自社開発し、サービス運営費を抑えたのも特徴だ。

 2016年4月の電力小売り全面自由化で多くの企業が一般家庭向けの電気販売に参入している。だが、電気は品質を含めサービスの違いを打ち出しにくく、料金の安さを競う状況が続いている。みんな電力は電気料金を競合並みに抑えた上で、消費者が特定の発電事業者を直接応援できる新たなコミュニケーション基盤を提供して差異化を図る。

 現在は再生エネルギーを使う中小規模の発電事業者を中心に40社が電力を供給している。より多くの発電事業者を集めるため、みんな電力が徴収する基本料金の一部を、応援してくれる契約者数に応じて発電事業者に還元する仕組みも用意した。

今後はミュージシャンやタレントなど、一定のファンや固定客がいる著名人も発電事業者として募っていく。2016年内に200事業者規模に増やす計画だ。

 競争力のある料金水準にするため、通常は大手ITベンダーなどのパッケージソフトを使う電力小売り向けの情報システムを自社開発した。具体的には、顧客管理や電力の受給管理のための情報システムをクラウド基盤上に構築・運用している。

 クラウド基盤には米セールスフォース・ドットコムの「Force.com」や「Heroku」などを採用。開発費と5年間の運用費を合わせた総費用はパッケージソフトを使う場合の10分の1程度という。