2016年7月12日、総務省は「第1回 プログラミング教育事業推進会議」を開催した(写真)。同会議は、総務省が公募していた「『若年層に対するプログラミング教育の普及推進』事業」における「クラウド・地域人材利用型プログラミング教育実施モデル実証事業」に関するもので、今年度中に3回の会議を予定している。

 第1回は事業の概要説明と、公募の中から11の実証プロジェクトを選定。以降、年末の中間報告、2017年3月に最終報告を予定する。同事業の公募の提出書類受付期間は5月27日から6月24日までで、この間46件の応募があったという。選定結果は7月19日にも公開される予定である。なお、同事業の取り組みは、教育課程外で実施されるものとなる。

写真●総務省が「第1回 プログラミング教育事業推進会議」を開催
写真●総務省が「第1回 プログラミング教育事業推進会議」を開催
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 会議の冒頭、挨拶に立った総務省 情報流通行政局 情報通信利用促進課長の御厩祐司氏は、文部科学省が有識者会議を経て取りまとめたプログラミング教育の定義を紹介した。

 「プログラミング教育とは子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての『プログラミング的思考』などを育成するもの」との定義について、「総務省としてもこのような理解に立って事業を進めていきたい」と述べ、プログラミング教育に関して関係省庁の足並みがそろっていることを示した。

 また御厩氏は、プログラミングに関する教室や講座の開設について、現在参入する民間事業者は増えているとしながらも、「地域ごとの格差が見られる。プログラミングに関する教室、講座の開設数は関東地方で53%、近畿地方で18%、過半数は関東で、7割が関東と近畿に集中している」状況を紹介(総務省の関連ページ)。とりわけ地方においては、「プログラミング教育を受ける機会が整備されていない。受けられる環境を全国に整備して、持続的に進めていくことがこの事業の背景となっている」と述べた。

 御厩氏は「『若年層に対するプログラミング教育の普及推進』事業」について二つのポイントを挙げる。一つはクラウドを利用すること(関連記事)。もう一つは地域の人材を育てていくことである。

 同事業は公募の条件として「プログラミング指導者(メンター)の育成」「プログラミング講座」「教育クラウド・プラットフォームの活用」を挙げている。同事業で開発された教材、人材、あるいは指導案などは、「文部科学省、経済産業省、総務省の3省と官民コンソーシアムを作って、そこで引き継いで全国でご活用いただきたいと考えている」(御厩氏)。また総務省として、同事業とは別のところで無線LANなどの基盤整備も併せて進めていきたいと述べた。

 同会議の委員は13人で、主査はICT CONNECT21会長で東京工業大学名誉教授の赤堀侃司氏が務める。そのほかの委員は以下の通り。特定非営利法人CANVAS理事長の石戸奈々子氏、武蔵野学院大学准教授の上松恵理子氏、LATALICO Qremo事業部 事業部長の小助川将氏、マルチメディア振興センター理事長の坪内和人氏、ハックフォープレイ代表取締役社長の寺本大輝氏、日本マイクロソフト 業務執行役員シニアディレクターの中川哲氏、富山大学大学院准教授の長谷川春生氏、デジタルポケット代表の原田康徳氏、古河市教育委員会 教育部 参事兼指導課長の平井聡一郎氏、小金井市立前原小学校 校長の松田孝氏、ライフイズテック代表取締役CEOの水野雄介氏、情報通信ネットワーク産業協会 会長の山本正巳氏(当日は代理で常務理事の今井正道氏が出席)。