血液検査サービスの米Theranosは現地時間2016年7月7日、米保健福祉省(HHS)のCenters for Medicare & Medicaid Services(CMS)から免許取消の制裁措置を言い渡されたことを明らかにした。

 米カリフォルニア州ニューアークにあるTheranosの研究所は臨床検査の免許を取り消され、同社経営者は免許取消から少なくとも2年間、研究所を所有、運営、指導することが禁じられる。そのほか制裁措置には、是正計画の指導や罰金なども含まれる。免許は2カ月後に失効する。

 TheranosのElizabeth Holmes最高経営責任者(CEO)は、「当社研究所の問題における全責任をとり、広範な是正計画に向けた作業にすでにとりかかっている。CMSの判断にたいへん失望しているが、今回の問題を深刻に受け止めている」と述べた。なお、米アリゾナ州の研究所では顧客に対するサービスを継続するとしている。

 複数の米メディア(New York TimesForbesなど)の報道によると、Theranosは、米スタンフォード大学を中退した弱冠19歳のHolmes氏が2003年に立ち上げた。数滴の血液から安価で血液検査が行える方法を開発したとして、他の研究所などに血液検査器を販売している。Holmes氏は米Appleの創業者、故Steve Jobs氏の女性版に喩えられるなど大きく注目され、昨年、同社の企業価値は90億ドルと見積もられた。

 しかし一部では同社の検査の信頼性に対して疑問の声があり、元従業員の情報などをきっかけに米当局が調査に乗り出した。その結果、当局は検査判定の精度や従業員のスキル、標本の保存環境などに関して数々の不備を見つけたと伝えられている。さらに米司法省(DOJ)と米証券取引委員会(SEC)も同社を調査中との噂もある。

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