「人財をアルゴリズムから解放し、ダイバーシティを進めよ」―― シグマクシス代表取締役会長 兼 社長の倉重英樹氏は2016年7月8日に「IT Japan 2016」(日経BP社主催)で講演。「『デジタル化』の本質」をテーマに、これまでの企業活動の変遷を説明し、今後の日本企業の活動にエールを送った。

写真●シグマクシス代表取締役会長 兼 社長の倉重英樹氏
写真●シグマクシス代表取締役会長 兼 社長の倉重英樹氏
(撮影:井上裕康)
[画像のクリックで拡大表示]

 倉重氏は講演のはじめに、「デジタルテクノロジー」は、「言語」「文字」「印刷」と同等に、テクノロジー史の1項目として挙げ、次に立てるべき項目として「GNR(Gene&Nano&Robotics=人間革命)」を予想した。

 続いてデジタル化が何をもたらすのか。その変化の本質は何かを探っていく。まずは世界観の変化だ。変化前は、企業が価値を生産し、顧客がそれを購買し、価値を消費した。これをGDL(Goods Dominant Logic)とした。一方変化後は、企業は価値を提案し、企業と顧客がその価値を共創するとした。その場合、価値は消費するのではなく、使用するものとなる。これをSDL(Service Dominant Logic)とした。

●SDLではPDCAサイクルを1~2週で回す

 上記の世界観において、価値づくりのプロセスはどう違うのか。GDLでは製品の質を最重視する。そのため設備などは自前主義となり、戦略、ビジネスモデル、システム構築、導入という慎重なプロセスをたどる。2~5年でソリューションサイクルを回すことで価値を創造した。

 一方SDLが重視するのはスピードだ。自前主義を捨て、オープンコラボレーションとし、PDCAサイクルを1~2週間で回す。常に新しい価値を創造し続ける。

 さらに価値創造モデルという観点で、変化前後を比較し、変化前をアルゴリズム(プロセス/手順書)、変化後をヒューリスティック(試行錯誤/臨機応変)とした。日本の高度成長を支えたアルゴリズムという価値創造では、利益の拡大により会社を発展させることが目的だった。モノ、品質、ヒト、カネはいずれも管理する対象であり、そのために仕組が重視されることになった。