ALSOKの青山幸恭 代表取締役社長
ALSOKの青山幸恭 代表取締役社長
(写真:井上裕康)
[画像のクリックで拡大表示]

 「何かあったら駆けつける警備では間に合わない。新しい抑止強化策が必要だ」。2016年7月8日、東京都内で開催した「IT Japan 2016」(日経BP社主催)の基調講演に登壇したALSOKの青山幸恭 代表取締役社長はそう語った。青山社長は「人工知能(AI)を使って犯罪、災害、事故を予測する警備が必要になるだろう」と話した。

 ALSOKは警備する施設に防犯カメラやセンサーを設置して監視している。異常があれば平均14分で警備員が駆けつける。「防犯カメラの抑止力はあるが、自爆テロ、ストーカー、通り魔といった犯罪を防ぐのは難しい」(青山社長)。防犯カメラの映像をAIで解析して、犯罪の予兆を発見して事前に警備員を派遣したり、スピーカーを通じて声をかけたりして犯罪を未然に防ぐ抑止力が必要だという。

 青山社長「日本はテロの標的になっていると知るべきだ」と訴えた。過激派組織「イスラム国」(IS)の存在、バングラデシュでのテロ、1972年にオリンピックで出場選手を狙ったテロがあったこと、地下鉄サリン事件などを挙げて「安心・安全のために、ICTをどうやって使うのかを考えていく」(青山社長)と話した。

「熟練の感覚」を自動化する

 「熟練の感覚」が犯罪を未然に防ぐことがある。青山社長はフランスの国際特急列車のニュースを紹介した。乗り合わせていた軍人が、トイレから聞こえた物音から自動小銃を持ったテロリストに気付き、取り押さえてテロを未然に防いだ。「カチカチという音だけでテロリストに気付けた。同じように、IoT(インターネット・オブ・シングズ)とAIを組み合わせれば、音から未然にテロリストを見つけられるかもしれない」(青山社長)。