シスコシステムズ代表執行役員社長 鈴木みゆき氏は、急速に進むデジタイゼーションの波がもたらすインパクトと企業の対応について講演した。

写真●シスコシステムズ代表執行役員社長の鈴木みゆき氏
写真●シスコシステムズ代表執行役員社長の鈴木みゆき氏
(写真:井上裕康)
[画像のクリックで拡大表示]

 鈴木氏は、「デジタイゼーションは、ITの進化とイノベーション推進力という二つの波によって加速している」と指摘。「クラウドやモバイルの時代になり、ビッグデータがビジネスのキーワードとなっている」という。

 これらのデータを分析し、意思決定の自動化、AI活用による新しい気づきや発見といったことが具現化し、製品やサービスを生み出すイノベーションが、主導権が企業、サプライ側から消費者(デマンド側)へと移ってきている。「これらも、消費者のニーズや声がデジタル化されることで企業が取り込みやすくなっていることが背景にある」と鈴木氏は述べた。

今後5年以内に業界トップ10の4割が脱落

 次に鈴木氏は、デジタイゼーションがもたらすビジネスインパクトとして、スイスのビジネススクールIMDとシスコの共同調査の結果を示した。「各業界上位10社のうち、今後5年以内にその4割近くが市場から脱落する」という内容だ。にもかかわらず、「全体の25%ほどしか積極的な対策を取ろうとしていない」という。

 さらにMITの調査では、デジタルビジネスに積極的に取り組む企業は、競合他社より12%高い市場評価を得るという結果が出ているという。鈴木氏は「今後、デジタイゼーションに取り組むことは必要不可欠となる」と断言。「ビジネスプロセスおよびモデルの変革」「利便と効率を向上させるイノベーション」「体験のパーソナライズ」の3つが重要だと指摘した。

 「ビジネスプロセスをデジタル化すると、最適な生産計画が可能になる。利便性や効率を考え、柔軟なビジネスやコラボレーションを可能にすれば、社員の能力を最大限に発揮させることができる。モノからコトへ価値観がシフトしている市民や顧客に対しては、体験をよりパーソナライズしすることでニーズに対応でき、サービスの差別化も可能になる」(鈴木氏)。