仮想通貨取引所大手の米Coinbaseは2016年7月7日(現地時間)、三菱東京UFJ銀行と戦略的パートナーシップを結んだと発表した。三菱東京UFJ銀行と三菱UFJキャピタル、ベンチャーキャピタルの米Sozo Venturesが、計1050万ドル(約10億5000万円)をCoinbaseに出資。Coibaseはアジアを含む世界市場への展開で、三菱東京UFJ銀行からサポートを受ける。

 三菱東京UFJ銀行は今回の出資について、「Coinbaseはビットコインに代表されるパブリックブロックチェーン関連企業として、現時点で世界的トップクラス。本出資を通じてCoinbaseと提携をすることで、既存の銀行取引(預金・為替)のみならず、新規ビジネス機会の創出や、ブロックチェーン領域における当行の将来的な活動の選択肢拡大を狙う」とコメントした。

 Coinbaseは、米Goldman Sachs出身のFred Ehrsam氏らが2012年に創業した。現在は30以上の国でビットコインなど仮想通貨の取引所を運営しており、米国、西欧、カナダ、シンガポールなどに展開している。

 Coinbase共同創業者のEhrsam氏は日経FinTechの取材に対し、「我々は三菱東京UFJ銀行との提携にワクワクしており、日本およびグローバルでの協力を楽しみにしている。このパートナーシップはまだ初期段階なので、開示できる特定の計画はないが、我々はCoinbaseと三菱東京UFJ銀行の双方の利益になるエキサイティングな可能性を模索していく」とコメントした。

 Ehrsam氏は日本市場について「デジタル通貨の発展のためのキーとなる市場とみており、金融庁による(仮想通貨の法制化などの)進展に励まされている」とする。同社は少なくとも2016年内に日本市場に進出したいとしつつ、日本市場向け取引所サービス開始の時期については「完全にはタイムテーブルを確定できていない段階」とした。

 Ehrsam氏は2016年5月に日経FinTechが実施したインタビューで、日本市場への参入を表明。「ワンクリックで銀行口座から日本円を引き出し、ビットコインを購入できるようにしたい」と語り、国内銀行との提携を模索していた。