スマートロックの開発ベンダーであるフォトシンスは2016年7月7日、Suicaを鍵代わりに利用できる新製品「Akerun Pro」を発売した(写真1)。月額9500円のレンタルプランで提供する。スマートロックとしての機能だけでなく、新たにネットワーク経由で他のシステムと連携する機能を実装した。今後3年間で1万台の販売を目指す。

写真1●Suicaを鍵として利用できる「Akerun Pro」
写真1●Suicaを鍵として利用できる「Akerun Pro」
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 レンタルプランには、Akerun Pro本体のほか、Suicaを読み取るNFCリーダー、Akerun Proをインターネット経由で管理するゲートウエイ機器がセットになっている。Suicaを鍵代わりに使うときは、Akerun Proを取り付けた扉の周囲にNFCリーダーを設置しておく。設置したNFCリーダーに、鍵として登録済みのSuicaをかざすと、Akerun Proが施錠・解錠を実行する。

 スマートロックという呼び方は、スマートフォンにインストールした専用アプリから、施錠・解錠を実行できることに由来する。だが、フォトシンスの河瀬航大代表取締役社長は、「スマートの意味を『賢い』に変えたい」と話す(写真2)。これを実践するため、Akerun Proで新たに実装したのがAPI連携である。

写真2●フォトシンスの河瀬航大代表取締役社長
写真2●フォトシンスの河瀬航大代表取締役社長
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 ネットワーク経由で他のシステムと連携できるようになり、「解除すると屋外の天気を知らせてくれる」「緊急地震速報を通知してくれる」「入退室に合わせて室内照明を制御してくれる」「全員が退出すると掃除ロボットが動き出す」といった、オフィスの効率化や生産性向上につながる使い方を可能にする。

 ほかにも、セキュリティ強化につながる使い方ができる。Akerun Proでは、誰が施錠・解錠したのかをクラウド上の管理用サーバーで全て記録している。河瀬代表取締役社長は、「マイナンバー制度などを背景に、社員数が50人以下の企業でも電気錠のニーズが高まっている。だが、電気錠は取り付けるのに50万円ほどかかる。Akerun Proなら初期投資なしで月額9500円で済む」と、Akerun Proの優位性をアピールした。