2016年7月7日、東京都内で開催中の「IT Japan 2016」(日経BP社主催)に登壇した富士通の香川進吾執行役員専務 デジタルサービス部門長兼CTOは、デジタル革新によって新しい付加価値を加える重要性を訴え、キーワードとして「見える化」と「インタラクティブ」を列挙。これらのテクノロジーを活用して「企業と顧客の間でダイレクトな関係をキッチリ作れないと、競争に勝ち残れない」と語った。

写真●富士通執行役員専務 デジタルサービス部門長兼CTOの香川進吾氏
写真●富士通執行役員専務 デジタルサービス部門長兼CTOの香川進吾氏
(写真:井上裕康)
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 デジタル化の波は1985年のインターネットに始まり、その後インタラクティブ性を上げるモバイルインターネット、見える化を進めたIoTと、現在までに三つの波が押し寄せたと解説。今後は「AIやロボティックス、ビックデータなどの技術を使い、利用者との関係の中での新たなユーザーエクスペリエンスを実現し、感動を与え、便利さ快適さを与えるという四つ目の波の到来も近い」と述べた。また、従来のIT技術が効率化やコスト削減の「システムの最適化」を目的にしていたのに対し、デジタル革新では「売り上げや利益、顧客満足度の向上」と目的が大きく異なると解説した。

個人が繋がることで生まれた「BtoBtoCtoC」

 香川氏はデジタル革新の本質として、「人を中心として、人やモノや環境の状態・状況の見える化から始まる。何をやりたいのかを理解し、その上で顧客とのダイレクトな関係作りが必要になる」と説明。従来は、企業がICTを活用してBtoCでダイレクトに価値を訴求する世界だったが、今ではICTのない企業でもプラットフォームサービスを利用して利用者との関係を作るBtoBtoCモデルが登場した、と指摘した。

 その上で個人が繋がることで生まれた新しいビジネスモデルとして、「BtoBtoCtoC」を紹介した。UberやAirbnbなどで使われているビジネスモデルで、ダイレクトマッチングやシェアリングエコノミーとして知られている。香川氏は「下手をすると、企業は中抜きにされてしまう」という。