日本オラクルの山本執行役員
日本オラクルの山本執行役員
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製品別に刷新した営業組織
製品別に刷新した営業組織
(出所:日本オラクルの発表資料)
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ハード事業の想定市場
ハード事業の想定市場
(出所:日本オラクルの発表資料)
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 日本オラクルは2016年7月5日、ハードウエア製品に関する2017年度の事業戦略を発表した。データベース専用機「Exadata」をはじめとする同社のハードウエア製品について、専任の営業組織設立、ハイブリッドクラウドのシステム構築推進、パートナー企業との協業という三つの柱で事業拡大を図る。

 日本オラクルのハードウエア製品はExadataのほか、データ分析に特化した「Exalytics」、Hadoopをはじめとしたビッグデータ処理ソフトを組み込んだ「Big Data Appliance」などがある。これらハードウエア製品の売上高は2016年5月期の第4四半期で、前年同期比47.6%増の74億円を記録。旧サン・マイクロシステムズの買収以来、最高の業績を達成した。

 ハード事業を担当する山本恭典執行役員は、拡販に向けた三つの事業戦略を説明した。第一はハードウエア製品専任の営業組織の設立。データベースやデータ分析のソフトを統合した製品を販売する「Engineered Systems」、旧サン時代からのSAPRCプロセッサとSolaris搭載機を担当する「Server営業本部」など、製品別に五つの組織を設立した。従来はサーバー製品とストレージ製品という区分のみだったという。

 二つめの柱が、ハイブリッドクラウドの推進だ。ハード製品で構築したユーザー企業側のプライベートクラウドと、オラクルのデータセンターなどから提供するパブリッククラウドを組み合わせたシステムを、積極的に提案する。例えば開発やテスト、バックアップなどの環境をパブリッククラウドに構築し、開発したシステムをプライベートクラウド上に移行して本稼働させる、といった形態を想定する。

 山本執行役員はパートナー企業との協業もさらに強化すると表明。これを第三の柱とする。例えばNTTデータ先端技術が2016年4月25日、Oracle Databaseをリアルタイムにバックアップできるハード製品である「Zero Data Loss Recovery Appliance」向けの一次保守サービスを、国内で初めて提供すると発表した。オラクル製品の機能を生かしたインフラ運用やシステム開発支援の特色を打ち出した協業を、これからも増やすという。

 「ビジネスチャンスは予想外に大きい」。山本執行役員はハードウエア事業の手応えを語る。各種の調査によれば、国内のサーバーとストレージの市場規模は7800億円。同社はこの10%に当たる780億円を、当面の目標と見据える。Oracle Databaseを動かすシステムのExadataへの置き換えをはじめ、メインフレームやSPARC搭載機の利用企業への売り込みを図る考えだ。