東京電力パワーグリッドは2016年7月1日、電力・ガス取引監視等委員会からの業務改善勧告に対して、状況および対策を取りまとめて報告したと発表した。業務改善勧告は、東京電力パワーグリッドから小売電気事業者などへの電気使用量データなどの通知が遅れていることに対して、6月17日に出されたもの。同日時点で、電気使用量データの通知が遅れていたのは約2万1000件。これを受けて、小売電気事業者の顧客への電気料金請求にも遅れが発生している。2016年4月に始まった電力小売りの全面自由化に伴って、電力会社を中心にシステムトラブルが相次いでいる。

 東京電力パワーグリッドは、東京電力ホールディングスグループの一般送配電事業を担う事業会社。2016年4月のホールディングカンパニー制導入で、それまでの東京電力から、燃料・火力発電事業、一般送配電事業、小売電気事業の3事業にそれぞれ分割されたうちの一つだ。

 電気使用量の通知が遅れたことの原因は、検針値管理や通知作成などの機能を持つ「託送業務システム」が、検針器から正しい検針期間を取得できなかったことため()。検針器を、旧型計器からスマートメーターへ取り替えた際に、計器の取り替え情報が託送業務システム上で正しく反映されなかったことで発生したという。

図●託送業務システムの概要
図●託送業務システムの概要
(出所:東京電力パワーグリッド発表の資料より抜粋)
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 対策として、検針器が設置されている現地での確認や、手作業による計器取替情報の補完、検針データの再収集などを実施してきた。報告では、電気使用量の通知を完了する具体的な時期は明らかにしていないが「速やかな使用量通知を目指し、今後定期的に改善の進捗状況を検証する」としている。

 東京電力パワーグリッドは7月1日、同社ホームページに「当社サービスエリアにおいて、電気使用量の確定通知が遅延しておりますことについて心よりお詫び申し上げます」と掲載し、謝罪した。