米Appleが高音質の音楽サービス、Tidalの買収に向けて協議を行っていると複数の海外メディアが現地時間2016年6月30日に米Wall Street Journal(WSJ)の記事を引用して伝えた。

 Tidalは、Kanye WestやMadonnaといった人気アーティストと緊密な関係を持っている。Appleは自社サービス「Apple Music」の強化を図るため、Tidalを買収することを検討しているとWall Street Journalは伝えている。ただし、事情に詳しい関係者は、「協議は現在も続いているが、最終的に買収取引は成立しない可能性もある」と話している。

 同紙によると、Tidalは米国人音楽プロデューサーで、ラップ界の重鎮と言われるJay Z氏が2015年3月に5600万ドルでスウェーデンのAspiroから買収したサービス。現在の有料会員数は420万人で、楽曲数は4000万曲。月額20ドルの高音質ストリーミングサービスと、月額10ドルのスタンダード版サービスを、北米、欧州で提供している。

 一方Appleは、昨年6月30日に世界100カ国以上でApple Musicを開始した。同社が先ごろ発表したその有料会員数は1500万人。米国における料金は1カ月9.99ドル(個人メンバーシップ)。同社は6月に開催した開発者会議で今秋リリースするiOS、macOS、tvOSの新版でApple Musicを刷新すると発表した(関連記事:Apple、「macOS Sierra」を発表、Siri搭載、iCloudの強化などへ)。