米QualcommはモバイルSoC「Snapdragon 600」シリーズと「同800」シリーズを米Googleの3次元(3D)視覚認識プラットフォーム「Tango」に最適化させる方針だと、複数の米メディア(EngadgetSlashGear)が現地時間2016年6月28日に報じた。

 Tangoは、動作や空間および配置を立体的に認識する人間の視覚と同様の能力を、モバイルデバイスに与えることを目指した技術。2014年2月に「Project Tango」の開発コード名でプロジェクトを公表し、2016年6月に中国Lenovo Group(聯想集団)が初の消費者向けTangoスマートフォン「PHAB2 Pro」を発表した。(関連記事:Lenovo、初のTangoベースのスマホ「PHAB2 Pro」を9月発売へ)。PHAB2 Proは9月より世界に向けて順次リリースする予定。Qualcommの「Snapdragon 652」プロセッサを搭載している。

 技術ニュースサイト「Ars Technica」によると、Tangoのプロトタイプ機では米Movidiusのビジョンプロセッサが使われていたが、PHAB2 Proには拡張現実(AR)関連データを処理するための専用プロセッサは見当たらない。QualcommはSnapdragon 652のTango最適化で1年半にわたってGoogleのTangoチームと協力してきたという。ハイエンド向けの「Snapdragon 820」プロセッサもTangoをサポートする。

 QualcommとGoogleの協業により、Tangoスマートフォンは従来のスマートフォンと比べ、増える部品は深度センサーとモーショントラッキングカメラ程度になる。このため、スマートフォンベンダーの間でTango技術の採用が広がることが期待される。Qualcommは「今後Tangoをサポートしていく」とし、Snapdragon 600および800シリーズの将来版をTangoに最適化させる意向を明らかにした。