日本IBMは2016年6月28日、銀行のインターネットバンキング(IB)とFinTech企業などが手掛ける外部サービスとの連携を支援する、「FinTech共通API」の接続検証を実施したと発表した。5社のFinTech企業と問題なく接続できることを確認したため、銀行への提案活動を本格化させる。

 銀行にとっては、自行のIBの利用者が外部のFinTechサービスを利用しやすくなるメリットがある。まずは日本IBMのIBシステムを利用する銀行に売り込み、10行強への導入を目指す。さらに、他社製IBシステムの利用行やノンバンクにも提案活動を広げたい考えだ。

 FinTech共通APIは残高照会、入出金明細照会、口座情報照会といったIBの機能をAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)として提供するサービスだ。APIの標準化を推進する「BIAN(Banking Industry Architecture Network)」の方式に基づく。認証プロトコルに「OAuth 2.0」を採用し、利用者のIDやパスワードを銀行が認証した上で、FinTech企業にAPIの利用を許可する。日本IBMは、2016年2月に提供開始している。

 今回の接続検証は、FinTech共通APIの導入行が個々のFinTech企業とAPI連携する際に生じる調整の手間を省けるようにする狙いがある。接続検証に参加したのは、オービックビジネスコンサルタント、Zaim、freee、マネーツリー、マネーフォワードの5社。日本IBMが検証用に準備したIBを使い、API連携した際に残高データなどを正確に取得できるかを確認した。今後、需要が高まっているクラウド会計分野などで、接続検証先を増やす予定だ。

 5社との接続が確認できたことで日本IBMは、FinTech共通APIの本格的な提案活動を始める。日本IBMの二上哲也 グローバル・ビジネス・サービス事業アプリケーション開発推進 技術理事は、「FinTech共通APIはIBとは独立したサービス。他社が開発したIB向けにも提供できる」と説明。他社製IBを使う銀行などへの売り込みにも意欲をみせる。

 FinTech企業向けにIBの機能をAPI提供するサービスとしてはNTTデータが先行、個人向けIBサービス「AnserParaSOL」のAPI連携機能をリリースしている。ただし同機能を使えるのは、AnserParaSOLの利用行に限られていた。