図●火力発電の運転を支援するサービス事業の概要
図●火力発電の運転を支援するサービス事業の概要
(出所:NEC)
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 中部電力とNECは、国内外の発電事業者向けに、火力発電設備の運転を支援するサービス事業を共同で実施すると発表した()。2016年度(2016年4月~2017年3月期)に開発に着手し、2017年度の完成を目指す。中部電力の運転保守技術と、NECのデータ分析技術を組み合わせたサービスであり、火力発電設備の信頼性向上や設備保安の高度化が実現できるとしている。

 火力発電設備から得られる温度や圧力などの大量の運転データ(ビッグデータ)をもとに、設備故障の予兆を監視したり、発電効率の低下や設備故障の要因を分析したりする。データ分析手法として、NECのインバリアント分析技術と要因分析技術、および中部電力とNECが共同で開発した火力発電所の異常を検知、分析するモデルなどを活用する。

 インバリアント分析は、任意の二つの計測値同士の相関関係をモデル化する技術であり、異常検知に役立つ。通常状態における大量のセンサーデータ同士の相関を機械に学習させておくことによって、通常通りではない異常なイベントが発生した際にアラートを上げる。単一のデータをしきい値で監視するよりも早い段階で異常を検知できる。

 中部電力とNECは、2014年度から火力発電における運転支援サービスの事業化に向けて、碧南火力発電所などで共同研究を実施してきた。今回、有効性が確認できたため、本事業を共同で実施することに合意した。