3メガバンクでIT改革を率いる3人が2016年6月24日、東京・秋葉原のベルサール秋葉原で日経FinTechが開催した「Nikkei FinTech Conference 2016」で「FinTechは銀行の姿をどう変える?」と題したパネルディスカッションに登壇した。パネリストは三菱UFJフィナンシャル・グループの柏木英一デジタルイノベーション推進部長、三井住友フィナンシャルグループの中山知章ITイノベーション推進部長、みずほフィナンシャルグループ インキュベーションPTの阿部展久PT長だ。

三菱UFJフィナンシャル・グループの柏木英一デジタルイノベーション推進部長(左)と三井住友フィナンシャルグループの中山知章ITイノベーション推進部長(中央)とみずほフィナンシャルグループ インキュベーションPTの阿部展久PT長(右)
三菱UFJフィナンシャル・グループの柏木英一デジタルイノベーション推進部長(左)と三井住友フィナンシャルグループの中山知章ITイノベーション推進部長(中央)とみずほフィナンシャルグループ インキュベーションPTの阿部展久PT長(右)
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 3人はブロックチェーンの技術開発や仕様策定で協力する考えを示した。柏木氏は「独自仕様のブロックチェーンが乱立するのは問題だ」とし、中山氏もこれに賛同した。「一緒にやっていく。決済関連やセキュリティもだ」(中山氏)。阿部氏も協力する姿勢を示し、「出資規制緩和の影響で協業しやすくなった。垣根のない形で、ブロックチェーンに一緒に取り組める」と話した。

 討論の中でスタートアップ企業との連携の難しさにも触れた。「スタートアップ企業の意思決定は銀行に比べて速い。彼らはCEO(最高経営責任者)が話し合いに参加し、その場で意思決定できる」(柏木氏)。阿部氏は「銀行がスピードを合わせるべきだ。多面的な議論ができるように、キャリアの違う複数人で接触するようにしている」という。中山氏は「一緒に成長を目指している。技術系のスタートアップには我々から人材を送り込んでいる」と話した。

 各行は「銀行の目指すべき姿勢は何か」という質問にそれぞれ、「FinTechの波は、さざなみが見えてきた段階だ。波を大きくする側にまわらないといけない」(柏木氏)、「新技術をどう使うかよりも、どんな技術を使うかを意識している」(中山氏)、「柔軟に変化することだ。我々に求められる形が金融業以外なら、IT企業にだってなる」(阿部氏)と答えた。