米Facebookが、SNS内の「ライブ動画(Live Video)」配信に関して、約140のメディア企業や著名人と契約を結んだと、複数の海外メディアが現地時間2016年6月22日までに米Wall Street Journalの記事(閲覧には有料登録が必要)を引用して伝えた。

 Wall Street Journalが入手した文書によると、Facebookは今後、一定の契約期間内に、メディア企業や著名人からライブ動画配信用のコンテンツを提供してもらう。その対価として総額5000万ドル以上を支払うという。契約先はCNNやNew York Timesなどの既存メディアのほか、MashableやHuffington Postといったデジタルメディアも含まれ、多岐にわたる。

 それぞれの契約の内容は異なっており、例えば17件の契約は金額が100万ドル以上となっている。最も金額が高いのはBuzzFeedで、同社は2016年3月から2017年3月の期間にライブ動画を配信し、その対価として305万ドルを受け取る。これに続くのがNew York TimesとCNNで、その1年間の契約金額はそれぞれ303万ドルと250万ドルという。

 Facebookは、ユーザーのサービス利用頻度や滞在時間の拡大に向けて、ライブ動画に力を入れている。今年3月にはその取り組みの一環として、メディア企業からコンテンツの提供を受けると発表していた。だが今回入手した文書で、これまでで最も多くの契約先と具体的な金額が明らかになったとWall Street Journalは伝えている。

 同紙によるとFacebookは対価の支払い方法について、今後本格的なスキームを検討するもよう。これには広告収入の分配といったことも考えられるという。今回の一連の契約はそれまでの間に質の高いコンテンツを提供してもらうための暫定的な措置だと同紙は伝えている。

 Facebookのライブ動画は、当初著名人向けサービス「Mentions」で提供していた機能だったが、昨年12月に米国で一部のiOSユーザーを対象に一般向け提供のテストを開始。今年に入って米国の全iOSおよびAndroidユーザー向けに公開し、現在では60カ国以上で利用できる(ただし日本では現時点で利用できないもよう)。

 この機能は「近況アップデート(Status update)」の「今なにしてる?(What's on your mind?)」の画面で利用できる。この画面でテキストを入力する代わりにブロードキャストのボタンをタップし、プライバシーのオプションを設定後、「ライブにする(Go Live)」をタップする。ライブ配信が始まるとFacebookの友人に通知が送られ、ライブ配信終了後はほかの動画と同様に自分のタイムラインに保存される。