NECは2016年6月22日、モデムやルーターなどの宅内通信機器の機能の一部をネットワーク側に移して仮想化し、ネットワーク側から集中制御できるようにする仕組み「vCPE」(バーチャライズドカスタマープレミセズイクイップメント、顧客宅内通信機器の仮想化)について、ブラジルの商用ネットワークを利用したフィールド実験を2016年5月に完了したと発表した。今後、ブラジルでvCPEの商用サービス開始を目指すとしている。

図●vCPEの概要
図●vCPEの概要
(出所:NEC)
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 vCPEは、SDN(ソフトウエアデファインドネットワーク)やNFV(ネットワーク機能の仮想化)といった技術を利用することによって、一般家庭の宅内ネットワークや企業の構内ネットワークの設定を簡素化する仕組み()。DHCP(端末へのIPアドレスの動的割り当て)やNAT(宅内LANとインターネット間のIPアドレス変換)、QoS(帯域制御など)、ペアレンタルコントロール(アクセス制限)といった上位レイヤーの機能を、宅内の通信機器からサービス事業者のネットワーク側に移動させる。

 vCPEの実現に当たって、宅内の通信機器の設定をリモートから変更するための専用プロトコルや仕組みを、新規に開発した。vCPEに対応したエッジ機器はまだ市場で販売していないものの、既存のルーター機器などと比べて機能を簡素化できる。また、ファームウエアなどの書き換えによって、既存の機器をvCPEに対応させることも可能という。

 NECは、子会社のネットクラッカーと共同で、vCPEのためのSDN/NFV関連サービスを開発し提供している。vCPEの実証実験は、スペインの通信事業者テレフォニカの子会社で、ブラジルで通信事業を営むテレフォニカブラジルの商用ネットワークを利用した。2015年4月から2016年5月にかけて実験を実施し、実証実験が完了したことを今回発表した。実験で使ったvCPE対応機器は、テレフォニカが提供した。