写真●PRIMERGY CX600 M1の外観
写真●PRIMERGY CX600 M1の外観
(提供:富士通)
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 富士通は2016年6月21日、プロセッサに米インテルの並列処理用プロセッサー「Xeon Phiプロセッサー」を搭載したサーバー機「PRIMERGY CX600 M1」(写真)を発表した。スーパーコンピュータなどのHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)用途に向く。出荷は9月。価格(税別)は、シャーシ1台(サーバー8ノード)の最小構成で1010万円から。

 CX600 M1が搭載するXeon Phiは、最大72コアのメニーコア型プロセッサ。Xeonと互換性を持ち、x86コードがそのまま動作する。OSはLinuxが動作する(関連記事:米インテル、Xeon Phi最新版「Knights Landing」の詳細を明らかに)。

 Xeon Phiプロセッサー1個の理論演算性能は3TFLOPS以上。既存のプロセッサであるXeon E5-2697Av4(2.60GHz、16コア)との比較では、SPECfp_rate2006のアプリケーション別ベンチマークにおいて最大で約4.4倍の性能向上が見られたとしている。

 CX600 M1の主な仕様は、以下の通り。シャーシは2Uラックマウント型で、1台のシャーシにXeon Phiプロセッサー1個を搭載したサーバー機「CX1640 M1」を8台(8ノード)収容する()。これにより、42Uのラック1台で168ノードを収容できる。メモリーは、Xeon Phiプロセッサーが内蔵する最大16Gバイトの高速メモリーに加え、最大384GバイトのDDR4メモリーを搭載する。冷却方式は、空冷と水冷が選べる。

図●2Uのシャーシ1台に8ノードを収容する
図●2Uのシャーシ1台に8ノードを収容する
(出所:富士通)
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 東京大学と筑波大学が共同運営するスーパーコンピュータシステムで2016年12月の稼働を予定する「Oakforest-PACS(オークフォレスト・パックス)」が、CX600 M1を採用する(関連記事:富士通が25PFLOPSのスパコンを受注、次世代Xeon Phi搭載のPCクラスター)。8208台のCX600 M1を使ったクラスターシステムであり、総理論演算性能は25PFLOPS以上に達する。

 Xeon Phiプロセッサーの前身は、Xeon Phiコプロセッサーである(関連記事:インテル、x86コードが動くスパコンPCIボード「Xeon Phi」を2013年1月に提供)。これはホストとなるXeonサーバーのPCI Expressバスに接続して使うコプロセッサーボードだった。これに対して今回のXeon Phiプロセッサーは次世代のXeon Phiに相当し、別途Xeon プロセッサを必要とせずに単独で動作させることができる。