写真●Surface付きクラウドまちなかカートの利用シーン
写真●Surface付きクラウドまちなかカートの利用シーン
(出所:日本マイクロソフト)
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図●富山発・高齢者向け ホコケンIoTプロジェクトの概要図
図●富山発・高齢者向け ホコケンIoTプロジェクトの概要図
(出所:日本マイクロソフト)
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 富山大学、三協立山、日本マイクロソフト、富山市の4団体は2016年6月20日、街中に配置する高齢者向けの歩行補助車「まちなかカート」にWindowsタブレット「Surface 3」を組み合わせて運用する共同参加型プロジェクト「富山発・高齢者向け ホコケンIoTプロジェクト」(写真)を6月26日に開始すると発表した。タブレット画面上で歩行距離、歩行時間、店舗情報などを確認できるようになる。富山市において2017年6月25日まで1年間運用する。

 今回のプロジェクトに合わせて、まちなかカートにSurface 3を付けた「Surface付きクラウドまちなかカート」を10台用意した。既存のまちなかカートとの違いは、歩行距離や歩行時間を計測するためのスマートコンピュータと、計測データをクラウド「Microsoft Azure」に転送したり、クラウド上の情報を見やすく閲覧したりするためのWindowsタブレット(Surface 3)を搭載していることである()。

 タブレット向けに情報閲覧用の専用アプリケーションも開発した。クラウド型のBI(ビジネスインテリジェンス)ソフトであるPower BIの画面を組み込んでおり、計測データを可視化している。これにより、歩行距離や歩行時間などの情報を分かりやすく把握できる。さらに、街の中にある各店舗に設置したBeaconセンサーの電波を受信して、店舗がInstagramに登録した写真をタブレット画面上に表示する。

 歩行距離や歩行時間を計測するスマートコンピュータは、タブレットとは独立して動作する。キャットアイの自転車用コンピュータをベースに開発したもので、車輪の回転を計測して歩行距離を調べる仕組み。計測データはBluetoothを介してSurface 3に転送、Surface 3が無線LANを介してAzureに転送する。

 Surface 3を搭載せずにスマートコンピュータだけを搭載したまちなかカートも用意する予定。この場合、計測データの転送用にシングルボードコンピュータの「Raspberry Pi」を使う。BluetoothでRaspberry Piにデータを転送し、Raspberry Piが無線LAN経由でAzureに転送する。現在20台ほどを配置している既設のまちなかカートについて、スマートコンピュータ搭載機に置き換えていく予定としている。

 プロジェクトに参加する4団体の役割はこうだ。(1)富山大学歩行圏コミュニティ研究会は、全体のプロジェクト管理を受け持つ。高齢者が積極的に街に出られるように歩行補助車のまちなかカートを開発し、市街地や市役所などに設置してきた実績がある。(2)三協立山は、プロジェクトで使う「Surface付きクラウドまちなかカート」を提供する。(3)日本マイクロソフトは、Surface 3やアプリケーション、AzureクラウドなどのITシステムを開発する。(4)富山市は、プロジェクトに対して実証のための環境を提供する。