日立製作所と東京大学は2016年6月20日、IT技術で暮らしやすさを高めた“スマート社会”を実現するべく、東京大学内に共同研究組織「日立東大ラボ」を同日付けで設置したと発表した。具体的な研究内容は未定だが、まずはスマート社会のビジョンを作り、このビジョンの実現に向けた課題解決に取り組む。活動開始当初の組織の規模は12人で、日立製作所からは10人が参加する。

 日立東大ラボの目的は、日本政府が提唱する「超スマート社会」を実現すること。超スマート社会は、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く次世代の社会であり、IoT/ビッグデータや人工知能(AI)によって実現する未来社会像である。文部科学省が2016年5月に発表した「平成28年版科学技術白書」に書かれている。

 超スマート社会の定義は「必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細やかに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」である。

 日立東大ラボでは、超スマート社会の実現に向けて、まずはビジョンを作成して発信する。さらに、ビジョンの実現に向けた課題解決に取り組む形の研究を行う。具体的な研究内容はこれから決めていく。先行して着手している研究開発テーマは「人や機械を超える生命知能を活用した健康・安心・安全社会の実現」である。