米IBMは現地時間2016年6月16日、航空機の安全な運航に関して同社傘下のWeather Companyと機内Wi-Fiサービスを手がける米Gogo Business Aviationが提携したと発表した。乱気流の情報や警告をリアルタイムで操縦室の機長や地上の運航従事者などに提供する。

 IBMは2016年1月に、Weather Companyの資産買収を完了した。「weather.com」や「Weather Underground」サービス、B2B事業、モバイルおよびクラウドベースのWeb資産、およびWeather Companyブランドと法人向け事業WSIなどを獲得している(関連記事:IBM、Weather Companyの買収完了 元CEOはWatson事業責任者に)。

 Gogoは提携のもと、機内通信サーバーにWeather Companyの乱気流検出アルゴリズム「Turbulence Auto PIREP System(TAPS)」を実装する。TAPSは航空機から生じるデータにアクセスし、乱気流の強度に関する観測レポートを作成する。これを、GogoのAir-To-Ground(ATG)ネットワークと衛星通信ネットワークを使って、運行中の緊急対応や気象予報に役立てるために送信する。

 機長は乱気流に関するリアルタイムの情報や、気象予報士による警報などを、Weather Companyの運航支援アプリケーション「WSI Fusion」や「WSI Pilotbrief」を通じて、あるいは通信ディスプレイ上で入手することができる。

 またWeather Companyは、TAPSのレポートを利用して乱気流予測の向上を図る。IBMが引用した調査データによると、乱気流の影響で生じるコストは、乗務員や乗客の怪我、臨時の機体メンテナンス、欠航に関する費用を含め、年間約1億ドルにのぼるという。

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