米Appleのスマートフォン「iPhone」の一部モデルが、中国端末メーカーのデザイン特許を侵害しているとして、中国・北京市の知的財関連の規制当局から販売停止を命じられたことが、米Wall Street Journal(閲覧には有料登録が必要)をはじめとする複数の米メディア(New York TimesForbesなど)の報道から現地時間2016年6月17日に分かった。Appleはすでに控訴し、現地で通常通りiPhoneを販売している。

 北京知的財産局は2016年5月、中国のBaili(佰利)というメーカーが作ったスマートフォン「100C」に「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」が酷似していると判断し、北京市での販売禁止を命じた。ただし、これらモデルと外観がほとんど変わっていない「iPhone 6s」および「iPhone 6s Plus」は対象に含まれない。

 Appleは声明で、「北京の地方特許裁判所が下した行政命令に異議を申し立てた。現在、北京人民法院が審査しており、そのため行政命令は保留されている」と説明。「iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 6s、iPhone 6s Plus、および『iPhone SE』すべてが中国で販売されている」と述べた。

 英Financial Timesなどの報道によると、Bailiは中国・深セン市を拠点とする、あまり知られていないメーカー。「販売禁止命令の影響を懸念するのはおおげさだ」とするアナリストの意見を、Wall Street Journalは伝えている。

 しかし、Appleにとって米国に次いで2番目に大きい市場である中国で、同社の試練は続いている。2016会計年度第2四半期(2016年1~3月)は中国の売上高が26%減少。4月に映画の販売/レンタル「iTunesムービー」と電子書籍アプリケーション「iBooks」が停止に追い込まれ、「IPHONE」の商標を使用している中国のハンドバッグ業者を相手取った訴訟で5月に敗れている。

 Appleは最近、中国配車サービス大手Didi Chuxing(滴滴出行)に10億ドルを出資したことが明らかになったが(関連記事:Apple、中国配車サービス大手に10億ドルを出資)、「中国政府の機嫌をとるため」と見る向きも多い。