米IBMと米国糖尿病学会(ADA)は現地時間2016年6月12日、IBMのコグニティブコンピューティング技術「Watson」をベースにした糖尿病関連アプリケーション開発促進で長期にわたって協力すると発表した。

 Watsonの能力とADAが保有する臨床データや研究データを統合し、糖尿病患者および関係者が治療や生活において様々な決断を下したり、健康上の影響について重要な情報を入手したりするのに役立つアプリケーションの開発を支援する。

 IBMの医療保健業界向け事業Watson HealthとADAは、Watsonが糖尿病に関するデータを理解できるよう、共同でWatsonをトレーニングする。潜在的なリスク要因を特定する機能や、健康状態の判断について確信度別に助言する機能などの実現を目指す。

 これにより、医療サービス事業者が治療について判断する際に役立つコグニティブデータベース、研究者が新たな治療手段の発見に向けて利用できるクラウドベースのデータ解析機能、患者および介護者がパーソナルなアドバイスや情報を入手するためのツールなどの開発が可能になるとしている。

 Watson Healthはまた、他の組織との糖尿病関連の協業についても進捗状況を明らかにした。医療機器大手の米Medtronicとの提携による「SugarWise」アプリケーションは現在、開発の最終段階に入っている。デジタル医療機器のイスラエルHelpAroundは糖尿病のQ&Aツールにおいて、Watson APIの組み込みを進めているという。

[発表資料(1)] [発表資料(2)]