Windows 10へのアップグレードを止める手順を紹介した、日本マイクロソフトのブログ
Windows 10へのアップグレードを止める手順を紹介した、日本マイクロソフトのブログ
[画像のクリックで拡大表示]

 日本マイクロソフトは2016年6月10日、Windows 7/8.1からWindows 10へのアップグレードについて、レジストリを書き換えることで更新を促すメッセージなどを止める手順を、公式ブログで公表した。手順自体はこれまでも法人向けなどに案内していたが、今回は手順を1通りに絞り込み、コマンドをコピー&ペースト可能にするなどシンプルな構成としたのが特徴。アップグレードプログラムに不満を抱く個人ユーザーへ一定の配慮をしたとみられる。

 具体的には、コマンドプロンプトを管理者権限で起動。レジストリを書き換えるためのコマンドをブログの記述からコピー&ペーストしてコマンドプロンプトに入力し、Enterキーで実行。正常に実行されたことを確認のうえ再起動する。

 レジストリの書き換えの具体的な効果について今回のブログでは明示していないが、Windows 10へのアップグレードを促すツール「GWX(Get Windows 10)」を停止し、GWXやWindows UpdateによるWindows 10へのアップグレードも実行しないようになるとみられる。

 「Windows 10 へのアップグレードを抑止する方法」と題した文書を掲載したブログは、開発者向けコミュニティー「TechNet」内のブログのうち、Windows 10へのアップグレードに関する情報を発信している「CS3 Windows」。著者は「Japan Consumer Support Team」となっている。

 同社はこれまでも、Windows 10へのアップグレードをレジストリにより抑止する手順を公表していたが「法人ユーザーにおいて、アプリケーションソフトの動作確認などWindows 10の検証が済むまでの対応策」と案内するなど、対象ユーザーや用途を絞り込んだ限定的な案内にとどめていた。

 今回公表したブログでは、対象ユーザーやOSのエディション、抑止策の用途などについて限定的な表現はなく、Windows 7/8.1ユーザーに向けて幅広く呼びかける内容となっている点で従来と異なる。また具体的な手順も1通りに絞り込み、レジストリエディターなどを使わずコマンドプロンプトで処理でき、コマンドも手入力でなくコピー&ペーストで済むよう案内するなど、個人ユーザーなども比較的迷わず操作できるシンプルな記述となっている。

 ただ、手順は簡単とはいえ、内容はレジストリの書き換え。自己流で操作したりせず、ブログの記述を厳密になぞりながら、慎重に操作する必要がある。

 同社は2015年7月のWindows 10の提供開始以来、Windows 7/8.1を搭載したパソコンを対象にWindows 10へのアップグレードプログラムを提供している。同社は新機能やセキュリティーの向上、アップグレードが2016年7月までは無償であることなどを打ち出し、パソコンの画面上の案内などでアップグレードを呼びかけている。

 しかしこうした施策に対し、現行バージョンのまま使い続けたいユーザーの間で「使い勝手や互換性が大きく変わるOSの更新を押しつけている」「繰り返し表示される案内がわずらわしい」「勝手にアップグレードされてしまった」「更新をキャンセルしたいのにできない」などの不満が広がっており、日本マイクロソフトやパソコンメーカー、周辺機器メーカー各社への問い合わせも増加傾向にある。

 批判の高まりを受け日本マイクロソフトは2016年5月下旬に、ユーザーが気づかないうちにアップグレードされてしまった場合に元に戻す手順を紹介する動画を公開したが、その後も非難の声は高まっている。同社が6月10日に開催したWindows 10へのアップグレードに関する説明会でも、こうした点に関する質問が相次ぎ担当者が釈明に追われた(関連記事:Windows 10への無償アップグレードは「強制ではない」、日本MSが回避手段などを説明)今回のブログの公開は、より明快なアップグレード回避策を幅広く案内することで不満をかわす狙いとみられる。

 ただ、アップグレードプログラム自体は続行しているほか、今回のブログも日本マイクロソフトやWindows 10の公式ページから簡単にたどれるようにはなっていない。既に意図に反してパソコンがWindows 10にアップグレードされてしまったユーザーも多いとみられ、沈静化にどれだけ効果があるかは未知数だ。