米Gartnerが現地時間2016年6月7日に公表したスマートフォン市場に関する調査によると、2016年の世界販売台数は15億台となり、前年からの伸び率は7%にとどまる見通し。スマートフォンの世界販売台数の前年比伸び率は2010年に73%と、過去最大を記録し、その後も2桁成長が続いていたが、今後こうした高い成長は見込めないという。

 Gartnerによると、北米の成熟市場や西欧、日本、アジア太平洋地域の成熟市場ではスマートフォンの普及率が90%に達している。またこれらの地域では買い替え周期が長期化している。例えば、高価格帯のスマートフォンの買い替え周期は平均2.5年で、今後5年間はこれが大きく変わることはないと同社は予測している。

 これに対し、新興国市場における高価格帯スマートフォンの買い替え周期は平均2.2年~2.5年、低価格のスマートフォンは同3年以上となっている。ただしこれらの市場ではフィーチャーフォンからスマートフォンへの買い替えが進んでおり、大きな成長が期待できるという。

 同社によると、サブサハラアフリカと呼ばれる、サハラ砂漠以南のアフリカ地域では、昨年スマートフォンの販売台数がフィーチャーフォンの販売台数を初めて上回った。この地域では、スマートフォンを初めて購入する人がますます増えると予想され、「メーカーにとって魅力的な市場」(GartnerのRoberta Cozzaリサーチディレクター)という。

 またインドでは昨年、フィーチャーフォンの販売台数が1億6700万台となった。これはスマートフォンを含めた全携帯電話販売台数の61%に当たる。同国はスマートフォンが成長する可能性が最も高い国だと、Gartnerは指摘している。同社の推計によると、インドでは今年、1億3900万台のスマートフォンが販売される見通し。その前年比伸び率は29.5%に上ると同社は予測している。

 一方、中国におけるスマートフォンの販売台数は、2014年時点で前年比16%増を記録していたが、昨年は横ばいとなった。同国では全携帯電話販売台数に占めるスマートフォンの比率がすでに95%に達している。中国のスマートフォン市場は今後5年間、引き続き低い伸びで推移すると、Gartnerは予測している。

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