米Appleがインドで進めている直営店開設計画について、インド当局は同社に対し、一定期間外資規制を免除する可能性が出てきたと、地元紙のTimes of Indiaが現地時間2016年6月6日までに伝えた。

 それによると、すでに同国の財務省と商工省の産業政策・振興局(Department of Industrial Policy and Promotion:DIPP)の間で協議が始まっている。そこでは、直営店開設後の2~3年はAppleに対し“30%調達ルール”を義務づけないという案が出されているという。

 これに先立つ今年4月、Appleが出していた直営店開設の申請書について、DIPPの諮問機関は、製品・部品の国内調達義務の免除を適用するよう提案した。だが財務省側はそれを認めない判断を示し、Arun Jaitley財務相もその考えを承認した。一方で、Nirmala Sitharaman商工相は、Appleに対する免除を支持する考えを示しており、同国の閣僚間で意見が割れていると伝えられた(関連記事:Appleのインド事業巡り、同国閣僚間で意見が割れる)。

 インドではAppleの直営店「Apple Store」のような店舗は「シングルブランド・リテール」に分類され、その外資比率が51%を超える場合、金額ベースで約30%の製品・部品をインド国内企業から調達しなければならない。これがいわゆる“30%調達ルール”だが、Appleの製品は大半が中国で製造され、部品も中国などインド以外の国で作られているため、この条件を満たすことができない。

 今回のTimes of Indiaの報道によると、インド政府は数年間国内調達義務を免除する代わりに、Appleが同国で直営店事業の足掛かりを得た後、部品をインド企業から購入してもらいたい考え。また、Appleは政府側に、同社がインドで一部の部品を購入し始めたことや、その部品をインド国外に輸出する計画について説明したと、同紙は伝えている。