米Facebookは同社サービスのモバイルWeb版からメッセージ機能を取り除いて強引にユーザーを「Messenger」アプリケーションに移行させようとしているとする米TechCrunchの報道を、複数の米メディアが伝えている。

 TechCrunchの現地時間2016年6月4日付けの記事によると、Facebookモバイルサイトの利用者に対して、「Your conversations are moving to Messenger(あなたの会話はMessengerに移行されます)」というダイアログが表示されるようになったという。

 同ダイアログでは、近いうちにMessengerからしかメッセージを読めなくなると警告しているが、現在のところ、従来どおりメッセージ機能を使い続けることができる。しかし、今年の夏にはMessengerをダウンロードしなければならなくなるだろうと、TechCrunchは見ている。

 Facebookのモバイルアプリケーションも、以前はメッセージ機能を備えていたが、2014年に完全にMessengerに切り替えられた。

 TechCrunchの問い合わせに対して、Facebookの広報担当者は「我々はできる限り最高のメッセージング体験を提供したいと考えており、Messengerはそれを実現するプラットフォームだ。ユーザーの混乱を避けるためすべてのユーザーをMessengerに集約する」と説明した。しかし「Messengerによって収益を得ることが目的であるのは明らかだ」とTechCrunchは指摘している。

 モバイルWebからFacebookにアクセスしているユーザーには、OSを最新版にアップグレードできない人や、Facebookアプリケーションを使えない人など、Messengerをダウンロードしない正当な理由がある人も多い。Messengerに切り替えるかどうかは「ユーザーが判断するべきこと」とTechCrunchは述べている。

 米PCWorldは、Messengerにユーザーを集結させるのはメッセージング市場におけるFacebookブランドをいっそう際立たせるためでもあると指摘。しかし、モバイルサイト経由でメッセージをやりとりしているユーザーはかなり少ないと思われ、そうした少数ユーザーをわざわざMessengerに切り替えさせることに米PCMagは疑問を投げかけている。

 なお、問題のダイアログはモバイルWeb版を利用するすべてのユーザーに対して表示されるわけではなく、米Android Authorityによれば、現在のところAndroidユーザーのみが対象とみられる。