2016年6月1日、ICTの総合展「ITpro EXPO 2016 in 九州」で、「ももクロ in ITpro EXPO 九州~IoTでつくるミライなカンケイ~」という演題で、人気グループ、ももいろクローバーZ(ももクロ)の佐々木彩夏さんを迎えて、特別企画が開催された。

ももいろクローバーZ(ももクロ)の佐々木彩夏さん(右)。左は進行役を務めた吉田琢也日経コンピュータ発行人兼ITpro発行人
ももいろクローバーZ(ももクロ)の佐々木彩夏さん(右)。左は進行役を務めた吉田琢也日経コンピュータ発行人兼ITpro発行人
(写真:諸石 信)
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 先生役を務めた講師の野村総合研究所 コンサルティング事業本部 ICT・メディア産業コンサルティング部 上級コンサルタントの鈴木良介氏が、IoT(Internet of Things)について事例を用いて解説し、それに生徒役の佐々木さんがコメントするという形で進んだ。進行役は、吉田琢也日経コンピュータ発行人兼ITpro発行人が務めた。

 鈴木氏はまず、身近なスポーツの世界でIoTが実際に活用されている例を紹介。メガネにカメラをつけてプレーヤーから見える映像を中継したり、テニスのラケットやボクシングのグローブにセンサーをつけて、速度やパンチの重さなどを瞬時に計測したりしている例を紹介。「IoTとは様々なモノがつながることで、より便利により楽しくなること」と解説した。「ボクシングは、全部痛そうに見えます。数値化してもらえると、今のはさっきのパンチよりすごいといったことが分かって、初心者でも楽しめそうですね」と佐々木さんは感想を述べた。

野村総合研究所 コンサルティング事業本部 ICT・メディア産業コンサルティング部 上級コンサルタントの鈴木良介氏
野村総合研究所 コンサルティング事業本部 ICT・メディア産業コンサルティング部 上級コンサルタントの鈴木良介氏
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 続いて、アイドルとファンの関係性向上にもIoTを活用できると鈴木氏は述べて、いくつかのアイデアを披露した。例えば、歌手が装着したセンサーと同期して自宅のロボットが光ったり動いたりすることで、コンサートに行けなかったファンも楽しめるシステム。「ライブ会場に来れなかった方々も、一緒に楽しめるのは面白いですね」と佐々木さん。このほか、パレードが近づくと観客のライトが同じ色に光るディズニーのシステム、体型を維持する目的で、食べるテンポが速過ぎると震えて教えてくれるやせるフォークを紹介した。

 IoTのビジネスへの応用についても、鈴木氏はいくつか紹介した。例えば、薬がケースから出たことを感知するセンサー付きのピルケースは、認知症患者の薬の飲み忘れ防止に活用できる。「同じ仕組みを洗剤のキャップにつけて、使用した時間を測定できないかという問い合わせがあった」(鈴木氏)。

 また、メイクアップ係がカメラ付きのメガネを装着し、メイクアップする側される側の両方で過程や結果を検証できるケースも紹介した。実際に、イブサンローランが百貨店の化粧品お試し企画で実施した。プロがメイクアップした様子を録画して、プライバシーに配慮したうえで顧客に動画を提供した。「顧客は後からプロのメイクアップをお手本にできるし、企業側はビデオ視聴の際にプロモーション映像を流せる」(鈴木氏)。佐々木さんは「一人ひとりに最適化したメイクアップのビデオは、うれしいですね。自分でその通りできるとは限らないですが、お手本が見られるのはいいです」とうれしそうに話した。

 最後に、鈴木氏のアイデアである「佐々木フォン」の概要を紹介した。これはももクロがMVNO事業者として携帯電話事業に参入し、佐々木さんのファンにカスタマイズした端末を使ってもらおうというもの。佐々木さんが設定した時刻にしか目覚ましがならない、ときどき佐々木さんから留守番電話が入る、自撮りすると背後に佐々木さんが写りこむ、といった笑える機能に加えて、コンサートでの本人認証のツールとして利用できるというまともな機能も搭載する。会場からは笑いが起き、佐々木さんも「ときどき留守電が入るというのは……」と言葉が続かない様子だった。

 最後に佐々木さんは「すごく面白かったです。IoTで私たちとファンの皆さんのつながりが増えるんですね」と感想を述べた。