日立製作所は2016年6月1日、2019年3月期を最終年度とする中期経営計画に向けた、社内の各ビジネスユニット(BU)の事業戦略説明会を開いた。金融や公共分野でのSIや、ITプラットフォームなどの事業戦略について説明した。ハイエンドモデルのストレージ事業への投資を凍結することなどを明らかにした。低収益のハードウエア開発事業の構造改革を進め、2019年3月期には「システム&サービス事業」の営業利益率を10%まで高める。

 日立製作所は4月1日付で、新事業体制に移行した。それまでの情報・通信システム社は三つに分割し、それぞれ、金融BU、公共BU、ICT事業統括本部に移行した。

 これら三つの組織を総合した「システム&サービス事業」は、2019年3月期に売上高2兆2000億円、営業利益率は10.0%を計画する。2016年3月期の売上高は2兆1093億円、営業利益率は6.7%だった。

写真●日立製作所 執行役専務 システム&サービスビジネス統括責任者の塩塚啓一氏
写真●日立製作所 執行役専務 システム&サービスビジネス統括責任者の塩塚啓一氏
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「システム&サービス事業は過去3年間、増収増益を果たしてきた」。日立製作所 執行役専務 システム&サービスビジネス統括責任者の塩塚啓一氏はこう振り返る。2016年3月期を見ると、金融、公共分野を中心にSI関連事業は好調。金融BUの売上高は3798億円、公共BUは2189億円。特に、メガバンクの大型のシステム更改案件や、マイナンバー関連案件が寄与した。

 「一方、課題となっていたのは通信ネットワーク機器などのプラットフォーム事業だ」。塩塚 システム&サービスビジネス統括責任者はこう話した。

 「ハード開発事業は、市場環境の競争が厳しい。営業利益率10%を達成するために、一部の低収益事業は撤退を図る。ハイエンドストレージについては、新規投資の凍結を計画している」(塩塚氏)とした。

 一方で、同社が5月に発表した、IoT活用を想定したソフトウエア製品群「Lumada」の開発に必要なハード事業は残す。ビッグデータ管理を想定したストレージ製品などだという。「2019年3月期を最終年度とする中期経営計画で目指すのは、IoT時代の顧客のパートナー。顧客のデジタルビジネスを支援するために必要なハードに投資する」(塩塚氏)とした。