米Appleのインド事業を巡る許認可の判断について、同国の閣僚の間で意見が割れていると、米Wall Street Journal米CNETインドLiveMintなどの海外メディアが現地時間2016年5月31日までに報じた。

 それによると、インドのNirmala Sitharaman商工相は、Appleが同国で進めている直営店開設計画について、外資規制の免除を支持する考えを示した。

 これに先立つ今年4月、Appleが出していた直営店開設の申請書について同国政府の諮問機関は、製品・部品の国内調達義務の免除を適用するよう提案した。だが外国投資促進委員会(Foreign Investment Promotion Board:FIPB)とArun Jaitley財務相がこれを認めない判断を示していた(関連記事:Appleのインド直営店計画が頓挫か、当局が規制免除を認めない方針)。

 これに関し、Sitharaman商工相は30日の記者会見で、同氏が、Apple Storeの国内調達義務の免除を再検討するための話し合いを財務相と行ったことを明らかにした。同氏は「財務相は異なった考えを持っている。我々は今後もこれに関して協議していく」と述べた。

 インドには小売業の外資規制があり、日本や米国にあるような直営店「Apple Store」がまだない。Apple Storeのような店舗はインドでは「シングルブランド・リテール」に分類され、その外資比率が51%を超える場合、規制により金額ベースで約30%の製品・部品をインド国内企業から調達しなければならない。ところがAppleの製品は大半が中国で製造され、部品も中国などインド以外の国で作られている。一方で、小売業者がインド国内では入手できない最先端の技術を同国に持ち込む場合、政府はこの義務の免除を適用することができる。

 またこれらの報道によると、Sitharaman商工相は記者会見で、Appleが同国で求めている「iPhone」の再生品(Apple認定の整備済製品)輸入・販売事業について、これを認めない考えを示した。同氏は「インドで中古の携帯電話を販売するとについては、それがどんな企業であっても賛成できない」と述べた。同氏はAppleがiPhoneの再生・整備をインド国内で行うことについても反対の考えを示したとWall Street Journalは伝えている。

 インドでは購入されるスマートフォンの大半が150ドル未満の低価格端末。だがiPhoneの最新モデルの平均価格は約700ドルと高額。そうした中、Appleがもし同国で再生品を販売できれば、ブランドイメージを損なうことなく、価格を劇的に下げられるとCNETは伝えている。