米Intelは現地時間2016年5月26日、コンピュータビジョン(CV)を専門とする米Itseezを買収することで最終合意したと発表した。自動運転車関連などのIoT(モノのインターネット)分野に向けた取り組みを推進するためとしている。合意書の署名は5月25日に行われたが、買収金額などの詳細な条件については明らかにしていない。

 Itseezは、自動車やセキュリティシステム、画像診断などで使用される主要な組み込み機器や専用機器向けのCVアルゴリズムの開発とソフトウエア統合を手がけている。

 2005年11月に元Intel従業員のVictor Erukhimov社長、同じく元Intel従業員のSergey Molinov最高財務責任者(CFO)、およびAlexander Bovyrin最高技術責任者(CTO)の3人で立ち上げ、2006年4月にソフトウエア開発大手のロシアMERAで幹部を務めたAlexey Myakov氏を最高経営責任者(CEO)に向かえた。現在、米カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置き、100人以上のエンジニアを抱える。

 Intelは、モノから発生したデータを処理および分析して新たな体験を生み出すためのクラウドおよびスマートデバイス技術への移行を図っており、IoT関連の中でも特に注力する分野の1つとして自動運転技術を挙げている。Intelが引用した米Morgan Stanleyの調査分析によると、自動運転車は年間5070億ドル相当の生産性向上をもたらすと期待される。

 買収後のItseezはIntelのIoT部門(IOTG:Internet of Things Group)のロードマップにおいて主要な役割を担い、Intelの顧客が自律運転、デジタルセキュリティ、監視、工業用検査などにおいて深層学習ベースのCV応用を実現できるよう支援する。

 またIntelは、Itseezがこれまで貢献してきたOpenCVやOpenVXといったCV標準化にも引き続き取り組むとしている。

[発表資料へ]