Airbnb Japanとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は2016年5月27日、民泊サービスのマーケティングに関する提携を発表した。CCCのWebサイトや店舗を通じてAirbnbの民泊サービスを紹介したり、体験イベントを開いたりする。共同での新サービス開発も視野に入れる。インバウンド(訪日外国人)需要を想定し、民泊を普及させてCCCグループや提携企業のサービス利用につなげる。

CCCの増田社長(左)と米Airbnbのジョー・ゲビア氏(右)
CCCの増田社長(左)と米Airbnbのジョー・ゲビア氏(右)
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 「日本流のホームシェアリングを広げたい」。CCCの増田宗昭代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)は、提携の狙いをこう述べた。「Airbnbはただ家を貸すのではなく、ホスト(貸し手)がゲスト(宿泊客)をもてなし、ゲストがその国のライフスタイルを体験するサービスだが、これがなかなか理解されていない。CCCもライフスタイルを提案する企業であり、提携を決めた」。

 具体的なマーケティング活動の内容はこれから詰めるが、まずはCCCとAirbnb Japanが共同製作したWebサイトを通じて、Airbnbの認知度向上を図る。東京・代官山にある「代官山T-SITE」など同社の店舗で、店舗全体を使ったプロモーションも実施する。

 共通ポイントである「Tポイント」を使ったマーケティングやAirbnb利用促進活動も実施する。2016年中に、新しくホストとして登録した利用者へTポイントを付与するキャンペーンを実施する。

 CCCが期待するのは、Airbnb利用者がTポイント提携企業などのサービスを使ったり飲食したりすることによる、「経済波及効果」だ。「インバウンドが増えればTカードの提携企業の売り上げが増えるし、地元の企業にもいろいろなビジネスチャンスが生まれる。結果としてCCCのためになると考えている」(増田社長)。

「うちも昔はグレー」だったと増田社長

 「長期的にはコンテンツやサービスをCCCと共同で作って、日本でのホームシェアリングを広げたい」。米Airbnbの共同創設者であるジョー・ゲビア氏は、こう期待を述べた。

 サンフランシスコの一室に、3人のゲストを泊めたところから始まったAirbnbのサービスは、いまや191カ国、3万4000都市に拡大。ホストの数は200万人、ゲストは累積8000万人を超えた。

 一方、日本では民泊解禁に向けた議論が進んでいるとは言え、現在のAirbnbのサービスは国内では適法とはいえない状態だ。増田社長は同社が創業当初、貸しレコード業を営んでいたことを引き合いに、早期の合法化に期待を示した。「私たちが貸しレコードを始めたときは違法だといわれた。レコードを貸すという法律がなかったからだ。その後は合法的に解決できた。Airbnbも既存の枠組みでは評価できないサービス。新しい法律ができて、法的な位置付けがクリアになることを願っている」。