IoT(Internet of Things)向け通信サービスを手掛けるソラコムは2016年5月25日、省電力・広域の新たな通信サービスを始めると明らかにした。「LoRaWAN」と呼ぶ国際標準規格を採用。100kビット/秒程度と低速度ながら、乾電池で1年使える省電力性と数キロメートルまでカバーできる長距離通信を可能にする。3G/LTEによる同社の既存サービスと合わせて、利用者はより柔軟なIoT通信が可能になる。LoRa技術の開発に携わるベンチャー企業M2Bに出資し、通信モジュールの開発などを進める。

 LoRaWANは920MHz帯の無線技術で、省電力、かつ長距離の伝送が特徴の通信方式。米IBM、米シスコシステムズなどが参加する団体「LoRa Alliance」が策定を進めている。ソラコムが出資したM2Bは日本企業として唯一、同団体に参加している。

 年内にも始める新たな通信サービスでは、LoRaWAN対応の無線基地局の周囲数キロメートルの範囲に、複数のLoRaWAN通信モジュールを設置してデータをやり取りする、といった形態を想定する。用途の例は橋や道路といった交通インフラにLoRaWAN通信モジュールを取り付けて振動データを集める、家庭やオフィスのスマートメーター(次世代電力計)に取り付けて使用電力データを集める、といったものだ。

 無線基地局には3G/LTEによる既存サービス「SORACOM Air」のSIMを取り付けて、集約したデータをインターネット経由で集めることができる。「基地局は利用企業などが自由に設置でき、独自のIoT網を形成できる。持ち歩きの自由度が高いSORACOM Airと使い分けることで、より柔軟な運用が可能だ」(ソラコムの玉川憲社長)。