写真1●NTTコムウェアの海野忍代表取締役社長
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写真2●AIを使った自動応答のデモ。会議の設定をしているところ
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写真3●「ささっとパンフ」のデモ。タブレットの「おすすめ情報配信中」をタップすると、ディスプレイに表示されている観光情報がタブレットにダウンロードされる
写真3●「ささっとパンフ」のデモ。タブレットの「おすすめ情報配信中」をタップすると、ディスプレイに表示されている観光情報がタブレットにダウンロードされる
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 NTTコムウェアは2016年5月25日、2016年度の事業方針や注力事業に関する説明会を開催した。海野忍代表取締役社長が自社の中核領域(コアコンピタンス)として挙げたのは、「インテグレーション」「マイグレーション(移行)」「オペレーション(運用)」の三つ。これまでインテグレーションの付随事業と捉えられてきたマイグレーションとオペレーションも単独のビジネスと位置付け、各事業を伸ばすと説明した(写真1)。NTTグループのシステムを支えるほか、培ったノウハウを生かしてグループ外の企業向けのビジネスも拡大させるという。

 注力するサービスとして紹介したのは、企業用のモバイル端末向けサービス「シャナイン」。企業向けのチャットツール「シャナインTALK」や、SNS「シャナインBOARD」などから成る。「LINE」や「Facebook」に代表される個人向けツールのような使い勝手と、企業向けのセキュリティ機能などを兼ね備える。ここ最近で特に引き合いが増えており、導入企業数は100、発行ID数は5万ほど。「5年後には10倍にしたい」(取締役 ビジネスクリエーション部長 高間徹氏)と意気込む。

 今後は音声通話やビデオ会議といった機能を強化予定。人工知能技術などを用いた人間との自動対話機能の開発も計画する。社内システムなどと連携し、ユーザーの命令を受けて各種の作業を代行するものだ。例えば「●●部長とミーティングを設定したい」と話しかけると、スケジュールソフトに予定を照会して適切な日程候補を出す、といったシナリオを想定する(写真2)。

 東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を見据えた新規事業も紹介した。その一つが、無線LAN接続サービスを活用し、接続したユーザーの端末に地域の観光情報などを配信する「ささっとパンフ」(仮称)。専用アプリが不要でブラウザーさえあれば閲覧できること、ネットワーク接続が切れてもオフラインでコンテンツを利用できることなどが特徴だ(写真3)。

 「スマホ画面同期配信システム」(仮称)は、複数のスマートフォンやタブレットの画面にコンテンツを配信し、各端末を同期させながら表示内容を切り替えるもの。観劇に適用し、劇の進行に合わせてコンテンツを切り替えるといった使い方がある。多言語のコンテンツを用意しておき、端末の言語設定によって言語を切り替えることも可能。既に能楽の公演で外国人観光客に多言語字幕サービスを提供するなどの実証実験を実施している。

 このほか、2016年2月に落札した、文部科学省の基幹ネットワークシステム構築についても説明。NTTコムウェアのマイグレーション技術が評価され、採用に至ったとする。稼働予定は、2017年1月。新システムによってテレワークの実現など多様な働き方が可能になるという。