米Facebookは、同サービス上で人気が急上昇している記事を表示する「Trending」機能において、保守系の記事を排除するよう操作していたと報じられた問題で、「組織的な政治的偏向の証拠はなかった」とする社内調査結果を現地時間2016年5月23日に報告した。

 Facebookは、この件で説明を要求していたJohn Thune米上院商業委員会委員長(共和党、サウスダコタ州)に調査結果を同日提出している。

 FacebookのTrending機能を巡っては、米IT系メディアサイト「Gizmodo」が5月9日、元Facebook契約社員からの情報として、Trendingの編集チームが保守派に関する記事を抑制するよう指示を受け、保守系ニュースをTrendingリストから外していたと報じた。

 Facebookは同日夜、「匿名で語られた内容が真実であるとの証拠はない。当社は厳格なガイドラインに沿っている」と反論。5月12日に内部ガイドラインを公開した(関連記事:Trendingリスト操作が報じられたFacebook、内部ガイドラインを公開)。

 Facebookは先週、Thune上院議員に予備調査の結果を報告しており、今回、現在および過去の編集担当者と監督者らの聞き取りや、ガイドライン、慣習、管理体制などを検討した結果を含む追加回答を提出した。

 Facebookによると、Trendingに掲載する記事の選択において、組織的な政治的偏見を示す証拠は見つからなかったという。またデータの分析から、Trendingトピックに保守系記事とリベラル系記事が採用された割合は事実上同等だったことが分かった。

 その一方でFacebookは「ガイドラインやポリシーの実施において個別の不適切な行動あるいは意図しない偏向があった可能性を完全に排除できなかった」とし、製品向上とリスク最小化に努めるためとして、Trendingトピックの選定プロセスの一部を変更することを明らかにした。

 具体的には、記事の重要度判断に利用していた外部のWebサイトおよびニュースメディアのRSSフィードを今後使用しない。トップ10ニュースメディアの注目度ランキングに基づいた「重要」レベルの適用を廃止する。そのほか、ヘルプセンターで提供する情報の拡充、ガイドラインの用語の見直し、担当者の再教育、編集チームの監視強化などを行う。

 回答を受け取ったThune上院議員は声明を発表し、「Trendingトピックの判断方法に関するFacebookの説明は、我々が質問する前のものと大きく違い、より詳細にわたっている。以前考えられていたよりも、(自動アルゴリズムに加えて)人間の手に依存していることが分かった」と述べた(米PCWorldの報道)。また、「Facebookが真剣にこれら疑惑に対処していること、あらゆる見解に対してオープンなプラットフォームであろうとしていることは明白であり、心強い」と評価した(米VentureBeatの報道)。

 米Wall Street Journal(閲覧には有料登録が必要)は、Facebookの対応を「よい措置だ」と賞賛する保守系メディア監視組織代表者の声と、「この問題はまだ解決されていない」と不満を示す全米保守連合会長の意見を紹介している。

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