ジュピターテレコム(J:COM)は2016年5月24日、日本放送協会(NHK)と共同で、J:COM商用回線を用いて世界で初めてケーブルテレビ網によるMMT-TLV方式での衛星8K放送の伝送に成功したと発表した。

 この伝送実験は、NHK放送技術研究所と協力して実施した。MMT-TLV方式で多重化された8K放送の信号をBSから受信し、複数搬送波伝送方式へ変換してJ:COMの現行のケーブルテレビ商用回線を使って伝送した。その信号をNHK放送技術研究所で受信し、安定して8K映像を視聴できることを確認した。「将来予定されている4K・8K本放送を、ケーブルテレビを通じて利用者宅まで届けることが可能であることが示された」と実験を位置付ける。

 複数搬送波伝送方式とはNHKが開発した技術で、ケーブルテレビ網におけるチャンネルの使用状況に応じて、64値QAMと256値QAM(異なる変調方式の搬送波)を組み合わせて4K・8K放送信号を伝送できるようにする。4K・8K放送を三つの異なる周波数チャンネルに分割して、ケーブルテレビ網経由で伝送する。受信側では3チャンネルの信号を復調して合成することで、4K・8K放送を視聴することが可能となる。

 KDDIは同日、NHKと共同で、KDDIの最大10Gbpsの光回線を利用して、世界で初めて8K放送の多チャンネル伝送実験に成功したと発表した。この多チャンネル伝送実験では、NHK放送技術研究所から10チャンネル同時に送信した8K信号を、NHKが開発した受信機で安定的に受信することができたという。

 今後、NHK、J:COM、KDDI、日本デジタル配信は、4K・8K衛星放送のケーブルテレビ回線網あるいは光回線網による同時再放送に向けて、小型の評価用受信装置を試作して共同の技術評価を進める予定。

 これらの実験の模様は、5月26日~5月29日にNHK放送技術研究所で開催される「技研公開2016」で紹介する。

[J:COMの発表資料へ]
[KDDIの発表資料へ]