写真●ジュピターテレコム(J:COM)上席執行役員の中谷博之氏(左、次期社長に就任予定)と、大分ケーブルテレコム(OCT)代表取締役社長の佐藤英生氏
写真●ジュピターテレコム(J:COM)上席執行役員の中谷博之氏(左、次期社長に就任予定)と、大分ケーブルテレコム(OCT)代表取締役社長の佐藤英生氏
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 ジュピターテレコム(J:COM)は2016年5月23日、J:COMが大分ケーブルテレコム(OCT)の発行済み株式の過半数を地元株主などから譲り受け、同社を連結子会社とすることで、J:COMとOCTが合意したと発表した。OCTは同日、2016年5月20日に開催した取締役会で、OCT株主によるJ:COMへの株式の一部譲渡について承認決議したと発表した。

 OCTは、1989年に設立された大分県の約70%のエリアをカバーする県内最大のケーブルテレビ事業者で、大分市や由布市を含む10市1町で事業を展開している。多チャンネルテレビ、高速インターネット接続、固定電話の3サービスを中心にサービス提供し、総加入世帯数は約11万世帯に達する。全国にある独立系ケーブルテレビ事業者の中でも、もっとも有力な事業者の1社である。

 J:COMによると、競争環境の激化などを背景に、OCTは業界最大手であるJ:COMグループに加わることで更なる成長を図っていくことを決定したという。J:COMは、九州地区において福岡県や熊本県で事業を展開しており、OCTのサービスエリアとも近接している。このため、営業・マーケティング面や商品・サービス面など、多方面にわたる相乗効果が期待できると考えている。

 OCTがグループに加わることにより、J:COMグループ全体の総加入世帯数は505万世帯から516万世帯に拡大する(両社数値の単純合算)。連結化後、OCTの代表取締役社長には、J:COM上席執行役員の中谷博之氏が就任する予定。

 OCTは、今回の決定の狙いについて「全国有数の独立系ケーブルテレビ局として、業界最大手であるJ:COMの事業基盤やノウハウを融合することで、これまでに増して高度なケーブルテレビ、インターネット、固定電話、モバイルサービス、電力を提供することができ、大手電気通信事業者に対抗するより有効な営業、商品、プロモーション戦略の実行が可能になる」「営業面での協力による売り上げ拡大と番組や資材の共同調達によるコスト削減を行うことで安定した経営基盤を確立でき、その結果としてネットワーク監視や地域密着のアフターフォロー体制のさらなる充実によりサービス品質と利用者満足度を今まで以上に向上させ、今後も永続的に発展していける企業を目指す」ことの2点を挙げた。

 5月23日に大分市で行われた会見において、OCT代表取締役社長の佐藤英生氏は、「今回の決断は5年前だと早すぎるし、5年後では遅すぎると考えている」と述べた。「当社の今期3月期決算は増収増益であり、今後も売り上げは伸びる段階だ」「将来、もし業績が悪くなると、今回のような資本提携が実現するかどうかわからない」「増収増益が続く今であれば、社員もプライドを持って、胸を張ってJ:COMグループに入れる」と考えたという。「平均年齢が31才と若い社員が多い。定年まで安心して務められるようにするためには、30年、50年と会社は成長していく必要がある」「数多くの利用者の方々にも最先端のサービスを提供できる」と考えて、今回の決断に至ったと説明した。

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