個人情報保護委員会は2016年5月24日、2015年度にマイナンバー法違反などで報告された事案が計83件あったと年次報告で初めて公表した。委員会によると2015年10月以降、地方公共団体からの報告が57件、民間企業などから26件あったという。

 委員会が求める報告には、マイナンバーを含む個人情報の漏洩や滅失、毀損のほか、提供してはいけない相手に渡してしまった事案も含まれる。委員会によると、企業からの報告で目立つのは、「住宅ローン申し込みの受付の際にマイナンバー付き住民票を受け取ってローン保証会社に提出してしまった」など、法律に規定のない事務でマイナンバーを扱ってしまったものという。

 また、2件は対象となるマイナンバーが100人分超となり、委員会規則で定める「重大な事態」に該当した。企業については委託先企業が従業員のマイナンバーを含むデータを削除してしまったという例のほか、2015年12月に埼玉県鴻巣市がマイナンバーを含む226人分の個人情報が入った電子ファイルを誤って県内市町村にも送るミスがあった事案という。

 これとは別に委員会は、行政機関と地方公共団体に対して計2件の立入検査を試行的に実施したほか、地方公共団体の窓口で通知カードの誤交付などが多かったとして注意喚起を4件行ったという。