ピュア・ストレージ・ジャパンは2016年5月24日、オールフラッシュ型ストレージ装置の新製品として、画像などの非構造化データの格納に適したファイル/オブジェクトストレージ「Pure Storage FlashBlade」を発表した。ブレード型のノードを増設することによって容量を拡張できる。2016年後半に販売開始する。価格は未定だが、1:3圧縮換算では1Gバイト当たり1ドル未満という。

図1●Pure Storage FlashBladeの外観と概要
図1●Pure Storage FlashBladeの外観と概要
(出所:ピュア・ストレージ・ジャパン)
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 同社は、オールフラッシュ型ストレージを開発するベンダーの1社である(関連記事:あらゆる用途でフラッシュアレイが使われる)。これまで同社は、ドライブ構成をすべてSSD(ソリッドステートドライブ)としたSAN(ファイバチャネルまたはiSCSI)接続型のブロックストレージ装置「Pure Storage FlashArray」(現行モデルは「FlashArray//m」)を提供してきた。これは主にデータベースや仮想化基盤などの用途で使われている。

写真●米ピュア・ストレージで製品事業部門バイスプレジデントを務めるマット・キックスモーラー(Matt Kixmoeller)氏
写真●米ピュア・ストレージで製品事業部門バイスプレジデントを務めるマット・キックスモーラー(Matt Kixmoeller)氏
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 今回、オールフラッシュ型ストレージの製品ラインアップを拡充し、ファイル/オブジェクトストレージ装置を追加した(図1)。ファイル共有プロトコルのNFSか、またはAmazon S3互換のオブジェクトアクセスAPIを使ってアクセスする。今後、Windows標準のファイル共有プロトコルであるCIFSと、HadoopファイルシステムのHDFSの二つに対応予定。「画像ファイルや文書ファイルといった大量の非構造化データに高速にアクセスするという需要に応える」(米ピュア・ストレージで製品事業部門バイスプレジデントを務めるマット・キックスモーラー氏、写真)。

ブレードサーバー(ノード)と分散ファイルシステムで構成

 新製品は、ブレード型のストレージサーバー機(ノード)、複数のノードにまたがった単一のストレージを運用できるようにする分散ストレージソフト、ノード間の接続やホスト(ストレージにアクセスする外部サーバーなど)との接続に使う40Gビット/秒の多ポートイーサネットスイッチ、の三つの要素で構成する。高さ4Uのラックマウント型のきょう体に、それぞれに分散ストレージソフトをインストールした最大15台のブレードサーバー機と、イーサネットスイッチを搭載する。

 ブレードサーバー機は一から設計した(図2)。ストレージのソフトウエアやロジックは、Intel XeonベースのSoC(統合チップ)とARMコアを搭載したFPGA(Field Programmable Gate Array)で処理する。フラッシュメモリーはメイン基盤にPCI Express経由で接続されている。停電時などにフラッシュメモリーに書き込まれていないデータを保護するNVRAM(不揮発性メモリー)も積んでいる。スイッチには10Gビット/秒×2本で接続する。

図2●FlashBladeのブレードサーバー機(ノード)の構成
図2●FlashBladeのブレードサーバー機(ノード)の構成
(出所:ピュア・ストレージ・ジャパン)
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 分散ストレージソフトも一から開発した。複数ノードにまたがったストレージを実現でき、ノードを追加するスケールアウトによって性能や容量を拡張できる。高さ4Uのきょう体1台で最大15ノードまで拡張できるほか、きょう体を複数つないでノード数を増やせる。出荷当初は2台まで接続可能。重複排除やデータ圧縮、暗号化などのストレージ機能群は、ブロックストレージのFlashArray//mからコードを流用している。

 ノードは、搭載するフラッシュの容量に応じて、性能重視の8Tバイト版と、容量重視の52Tバイト版の二種類を用意している。8Tバイト版と52Tバイト版の違いはフラッシュの容量だけであり、CPUなどの処理能力は共通。このため、8Tバイト版のほうが容量当たりの処理能力は高くなる。ノード15台構成時の容量(非圧縮時)は、8Tバイト版で132Tバイト、52Tバイト版で792Tバイト。データ圧縮後の有効容量はシャーシ1台(ノード15台)で約1.6ペタバイトになる。データ転送速度はシャーシ1台で15Bバイト/秒、NFSのI/O処理は1秒当たり100万回。