参議院は2016年5月20日、省庁や独立行政法人を対象にした「行政機関個人情報保護法」などの改正案を原案通り賛成多数で可決し、成立した。改正法は行政機関などが保有する個人情報から「匿名加工情報(非識別加工情報)」を作成して、企業に提供することで、「新たな産業の創出」などに役立てられるようにする。

 同改正法では、行政機関などが保有する個人情報を加工して復元できないようにした匿名加工情報(非識別加工情報)を、企業に提供するための法的な枠組みを設ける(関連記事)。

 また個人情報保護委員会は、省庁や企業の匿名加工情報(非識別加工情報)の取り扱いについて、個人のプライバシーを侵害しないように一元的に所管し、問題があれば省庁にも勧告を行う。改正個人情報保護法の全面施行と同じく2017年に施行するとみられる。

 衆参両院は附帯決議で、非識別加工情報は行政機関などの内部では個人情報に該当するとして、ほかの情報との照合は、所掌事務の遂行に必要で、かつ生命・身体、財産の保護といった緊急の場合に限るなど、個人情報の保護に万全の体制を構築するよう求めた。また、個人情報の保護対象の明確化や、非識別加工情報について個人情報保護法の匿名加工情報と同様の扱いができることについて十分な周知を求めた。