TISは2016年5月17日、モバイルアプリケーションに強みを持つタイのプロンプトナウに約60%出資し、連結子会社化したと発表した。出資額は非公開。現地の大手金融機関を顧客に持つ同社と組み、得意とする決済関連事業の海外展開に弾みをつけたい考えだ。

 タイの有力企業を傘下に置き、決済関連システムの需要を取り込む。プロンプトナウは2003年設立のITベンダーで、モバイル技術や決済関連技術を得意とする。タイの大手銀行であるカシコンバンクのモバイルバンキングアプリを手掛けるなど、多くの大手金融機関を顧客に抱えるのが強みだ。

 タイの決済市場は成長が見込まれる分野の一つだ。同国政府は2015年12月、「e-Payment構想(A National e-Payment Master Plan)」を採択し、国民共通IDを用いた決済手段の提供などを目指している。FinTechの追い風を受け、金融機関による新サービス開発への投資も盛んだ。

 プロンプトナウは、TISが2014年に資本・業務提携したタイのIT大手、エムフェックの子会社だった。同社との協業検討の中でTISはプロンプトナウが持つ決済関連ソリューションに目を付け、今回の連結子会社化に踏み切った。

 TISは2014年に決済ソリューション群「PAYCIERGE」を発表、5年で200億円規模の事業とすることを掲げるなど、決済関連事業を重点領域に据える。2016年2月には米i2cとグローバルでの決済サービス提供で業務提携するなど、海外での事業強化も図っている。