米AppleのTim Cook最高経営責任者(CEO)は現地時間2016年5月16日に中国の北京を訪問した。中国配車サービス大手Didi Chuxing(滴滴出行)のJean Liu(柳青)社長とタクシーに乗るところを写真に撮り、自身のTwitterアカウントから投稿した。

 Appleは先週、Didi Chuxingに10億ドルを出資したことが明らかになった(関連記事:Apple、中国配車サービス大手に10億ドルを出資)。Didi Chuxingは2018年を目処に米国での新規株式公開(IPO)を検討しているとも報じられた(英Reuters)。

 Appleは今回の訪中の目的についてコメントしていないが、複数の米メディア(ComputerworldCNETなど)は、Didi Chuxingとの協力体制構築と中国政府との関係改善、さらに新たな事業機会の模索などを挙げている。

 中国はAppleにとって世界第2位の市場だが、最近、映画の販売/レンタル「iTunesムービー」と電子書籍アプリケーション「iBooks」が停止に追い込まれ、商標侵害訴訟で敗訴するなど厳しい状況が続いている。同社の2016年1~3月における「iPhone」販売台数は初めて前年を下回り、中国での売上高は同26%落ち込んだ(関連記事:Appleの1~3月期決算は減収減益、iPhone出荷が16%減)。

 Cook CEOは北京の「Apple Store」でDidi Chuxing幹部と面談したほか、「Meituan-Dianping(美団-大衆点評)」「Toutiao.com(今日頭条)」「Tap4Fun」といった人気アプリケーションの創業者やCEOらと会ったとされている。

 またCook氏は、5月17日に中国からインドへ移動するもよう(米Mashableなどの報道)。AppleのCEOとして初めての訪印で、複数の都市を回る。Narendra Modiインド首相に面会し、インド向け事業の計画について発表すると見通しという。

 Appleにとってインドは数少ない光明の1つで、1~3月期に同国の売上高は56%増加した。しかしインドにおけるスマートフォンのシェアは2%とごくわずかだ。Appleは低価格モデルが主流のインドに再生品iPhoneを輸入・販売しようとしたが、この計画はインド政府の承認を得られなかった。

 Modi首相はインドの経済成長と雇用創出を目指す「Make in India(インドで製造する)」政策を押し進めている。Apple製品の組立を請け負う中国Foxconn Technology(富士康科技)はすでにインドに拠点を持っており、人員を雇用しているとも報じられている。

 なお、Appleはインドに初めての直営店を開設する計画を進めている(米Fortune)。