スタートアップ企業が多数集まるイベント「Slush Asia 2016」が2016年5月13日に開幕した。同イベントは、フィンランドで行われている「Slush」のアジア版であり、2015年の初回に続き、今年が2回めの開催となる。

 初日冒頭の講演には、ソフトバンクグループ代表取締役副社長を務めるニケシュ・アローラ氏が登壇(写真1)。たくさんの新サービスや新産業を生み出す「ユーティリティ(日常の生活に欠かせない事業)」の重要性を語ったうえで、「過去10年間に普及した最大のユーティリティは“コネクティビティ”」だとし、そこからGoogleやFacebookといった多くのネットサービスが広がったとした。今後はそのコネクティビティの対象が「身の回りのモノ」に広がると展望、ネットにつながる電気自動車「Tesla」の自らの体験を交えながら、「車だけでなく、エアコンや照明など、多くの身の回りのモノがどこからでもコントロールできるようになる」という世界観を語った。

写真1●Slush Asiaの講演に立ったニケシュ・アローラ氏
写真1●Slush Asiaの講演に立ったニケシュ・アローラ氏
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 イベント会場は、講演スペースとデモスペースが渾然一体と配置され、人工のスモークにレーザー光線が浮かび上がる演出が施されるなど独特の雰囲気。

 製品のデモスペースには、国内外のスタートアップ企業の新製品、新サービスが多数並んだ。紹介できるのはごく一部だが、民間月面探査チーム「HAKUTO」(開発者はispace)、ウインクで撮影できる小型カメラ「BLINCAM」(Blincam)、モバイルやWebアプリのプロトタイプを簡単に作成できる「prott」(Goodpatch)、IoTの活用で介護サービスを実現する「Live Connect Care App」(ジーワークス)などである。

 台湾や福岡市など、スタートアップ企業の育成に力を入れる地域からの出展が多いのも特徴だ。台湾からは、Docceoがホテルの照明や空調をスマートデバイス向けアプリからコントロールできるサービスを出展した。一部のシャングリラホテルに導入が始まっているという。

 スタートアップ企業だけでなく、大企業からの出展もある。例えばリクルートホールディングスがオンライン学習プラットフォーム「Quipper」と、ものづくりスタートアップ支援サービス「BRAIN PORTAL」を出展した。BRAIN PORTALは2015年12月に発表された新サービスで、プロジェクト全体を管理すると共に、プロジェクトの工程に合わせて必要な専門家や製造工場などを紹介する。

 Slush Asia 2016は、5月14日も行われる。