波多野敦IBMシステムズ・ハードウェア事業本部ストレージ・システム事業部理事 事業部長
波多野敦IBMシステムズ・ハードウェア事業本部ストレージ・システム事業部理事 事業部長
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 日本IBMは2016年5月12日、高速フラッシュストレージの新製品「FlashSystem A9000R」を発表した。FlashSystemシリーズでは初めて大容量ストレージ製品「XIV Storage」のソフトウエア機能を標準搭載している。シリーズの特徴である高速I/O性能に、データ入出力を並列化して遅延時間を短縮し、遅延時間そのもののブレも少なくしたという。

 FlashSystemは汎用のHDDやSSDではなく独自のストレージボードを使ってI/O性能の高速化を図ったフラッシュストレージシリーズ。A9000RはXIV Storageの機能をソフトウエア化した「Spectrum Accelerate」を標準搭載している。

 Spectrum Accelerateはデータを自動分割して保存して、入出力処理を並列化する。独自ボード間や、エンクロージャー間でデータを自動分散して保存、入出力を並列化して遅延時間のブレを少なくしている。専用ラックにエンクロージャーを追加して、データを使うアプリケーションを止めずに容量と性能を拡張できる。容量は最大で1.8Pバイト。

 IBMシステムズ・ハードウェア事業本部ストレージ・システム事業部の波多野 敦事業部長は「従来のクラウドは基幹業務向けが中心だったが、既に顧客が使う端末向けのシステムでも一般的に使われている。顧客用システムが達成すべき応答時間は1秒以内だ」と話す。システム全体で応答時間を1秒以内にするために、ストレージの遅延時間は1ミリ秒未満にする必要があるという。FlashSystem A9000Rは250マイクロ秒の遅延時間をうたっている。

 同社は合わせて専用ラックのない同型製品「FlashSystem A9000」も発表した。容量の拡張機能を省いて価格を抑えた。容量は60Tバイト、150Tバイト、300Tバイトの3種類。

 日本IBMは「価格は個別見積もり」とする。米IBMが先行して公開した文書によると1Gバイト当たり1.5ドル。単純計算すると600Tバイトで1億円程度とみられる。