スカパーJSATホールディングス(スカパーJSAT HD)は2016年5月12日の「スカパーJSATグループ 2015年度通期決算及び中期経営計画説明会」で、2016年度から2020年度までの5カ年を対象とした「中期経営計画2020」を発表した。

 代表取締役社長の高田真治氏は、詳細な説明に入る前に、今回の計画と前回の計画の違いについて述べた。「前回の計画では、新たな顧客開拓や運用コストの効率化といった方法によって収益力の向上を図っていた。今回の計画においては、積極的な設備投資や、M&Aといった事業投資による事業領域の拡大によって、新たな成長基盤の構築を目指す」とした。

 有料多チャンネル事業においては、加入者増に向けた施策について、これまでのDTH(直接受信)依存からOTT(over the top)やFTTH経由の加入獲得に重点をシフトする。DTHは次世代サービスである4K/8K化を推進する。さらに放送事業者と組んでプラットフォームとしてさらなるコンテンツ差別化を図るほか、子会社のWAKUWAKU JAPANを通じて展開する海外コンテンツ事業を拡大し、国内に縛られない事業の成長を図る。

 宇宙・衛星事業では、拡大するグローバル・モバイルマーケットを狙ってHTS(High Throughput Satellite)などの新型衛星を投入する。これによって競争力を強化し、成長のベースとする。宇宙基本計画に対応した宇宙事業の拡大や、非静止衛星を含めた新たな衛星利用の開拓を進めるほか、衛星フリートの効率化も図る。

 事業領域拡大は、有料多チャンネル事業部門と宇宙・衛星事業部門の両方でアジアを中心とした海外展開を加速することによって実現を目指す。積極的なM&Aや事業提携を、事業領域の拡大や新たな競争環境に対応するための手段と位置付ける。

 2020年度の数値目標としては、「グループ連結営業収益:2000億円以上」「グループ連結営業利益 :300億円以上」などを挙げた。有料多チャンネルサービスの累積加入件数(2016年3月末時点は348万2326件、スカパー!オンデマンドサービスの有料商品契約者数は含まず)は400万件以上(スカパー!オンデマンドサービスの有料商品契約者数を含む)を目指す。なお2016年3月末時点のスカパー!オンデマンドサービスの有料商品契約者数(同年同月時点)は4万3000件である。