格安IoT(Internet of Things)通信を手掛けるベンチャーのソラコムは総額約24億円の資金を調達した。World Innovation Lab(WiL)、Infinity Venture Partnerらを引受先にした第三者割当増資を実施。2015年の創業以来、調達した資金の総額は31億円になった。同社は調達資金を元に、北米や欧州などの海外展開に乗り出す。年内にも第一弾のサービスを始める。

 ソラコムはIoT機器向けのデータ通信やデータ管理といったサービスを提供する。データ量に応じた格安通信の「SORACOM Air」、暗号化や送信先制御の「同 Beam」、仮想プライベート接続「同 Canal」などだ(関連記事)。

 ここ1~2年、日本のベンチャー企業による数十億円規模の資金調達が相次いでいるが、多くは消費者向けのスマートフォンアプリやゲームの企業。企業向けのインフラサービス企業の大型資金調達は珍しい。

 同社は調達した資金を、事業の世界展開に向けた人材採用やサービス開発に充てる。まず北米や欧州を中心に展開し、アジア市場も視野に入れる。

 当初の想定顧客は、世界展開する日本の製造業や流通業など。現地の通信会社の携帯電話網を使った、SORACOM Airの海外版といったサービスを始める見通しだ。

 「日本である程度の実績を残せた。世界のIoT市場は急拡大しており、スピーディーに世界展開に乗り出すべきと判断した」。玉川憲社長は背景をこう説明する。2015年9月にサービスを始め、顧客数は2000アカウントを超えた。