写真●NTTデータの岩本敏男 代表取締役社長
写真●NTTデータの岩本敏男 代表取締役社長
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 NTTデータは2016年5月10日、2016年3月期の連結決算を発表した。売上高は2015年3月期比6.8%増の1兆6148億円、営業利益は同20.1%増の1008億円で増収増益となった。売上高と営業利益はともに過去最高を更新。海外売上高比率は30%を上回った。2016年3月期は中期経営計画の最終年度だが、米デルのITサービス部門の買収が完了していないことを理由に、次期中期経営計画は公表しなかった。

 会見に臨んだNTTデータの岩本敏男代表取締役社長は「売上高、営業利益はともに史上最高だ。金融や公共分野を中心とした大型の更改案件を受注し、着実に業績を伸ばせた」と振り返った(写真)。2016年3月期の受注高を見ると、2015年3月期比16.3%増の1兆6626億円。「金融」や「公共・社会基盤」セグメントなどを中心に、IT投資の増加を取り込んだ。

 2016年3月期の業績をセグメント別に見ると、官公庁や医療、通信などの「公共・社会基盤」セグメントは増収減益となった。売上高は2015年3月期比2.9%増の4208億円、営業利益は同17.3%減の334億円。受注増を追い風にするものの、不採算案件の発生が響いた。

 「金融」セグメントの売上高は2015年3月期比5.5%増の5236億円、営業利益は同55.7%増の319億円で増収増益となった。受注高は同43.2%増の5209億円と、全セグメント中で最も伸びた。

 流通、製造などの「法人・ソリューション」セグメントの売上高は2015年3月期比7.0%増の3918億円、営業利益は同32.7%増の326億円で増収増益となった。

 「グローバル」セグメントは増収増益。売上高は2015年3月期比11.9%増の5196億円。営業利益は8億円で黒字に転換した。2015年3月期は27億円の赤字だった。

 2017年3月期の連結業績予想は、売上高は2016年3月期比2.2%増の1兆6500億円、営業利益は同4.1%増の1050億円とした。岩本社長は「2016年3月期の受注残高は1兆5000億円」と達成に自信を見せる。2017年3月期の受注高は「前年度に対する反動減」(岩本社長)を見込み、2016年3月期比9.2%減の1兆5100億円とした。

 2017年3月期の業績達成のリスクとして、不採算案件がある。2016年3月期には、金融分野で2件、公共分野で2件の総額約100億円の不採算案件が発生していた。このうち既に収束しているのは、金融分野の1件。残る3件については、2017年3月期中に収束すると見込む。新たな不採算案件の発生については、「プロジェクトの審査を徹底するなどして防ぎ、総額80億円以下に抑えたい」(岩本社長)とする。

 岩本社長は会見で、2020年頃までに海外売上高比率50%、連結売上高2兆円を目指す考えを明らかにした。一方で、2016年3月に発表した、米デルのITサービス部門の買収が完了するまでは、「次期中期経営計画の詳細は発表しない」(岩本社長)とする。岩本社長によれば、米デルのITサービス部門は約3000億円の規模で「買収が完了するのは、2016年上期中になると予想している」という。